著者
下川 和洋 北野 日出男
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.881-888, 1989-12-25

1. クサギClerodendron trichotomum (THUNB.)の葉には, 乳頭突起と腺毛状突起の2種の毛状突起, および花外蜜腺の存在が確認された.2. カブラハバチAthalia rosae ruficornis (JACOVLEV)(以下カブラと略), セグロカブラハバチAthalia lugens infumata (MARLATT)(以下セグロと略), およびニホンカブラハバチAthalia japonica (KLUG)はクサギ葉の腺毛状突起を摂食していることが明らかになった.3. カブラやセグロがクサギの花外蜜腺の蜜を摂取するのが観察され, カブラハバチ類の野外における食物になっていると考えられる.4. カブラを用いた実験で腺毛状突起摂食個体の成熟卵の増加傾向が明らかとなった.その意義として生殖能力を高める.配偶行動を生じさせる役割などが考えられるが, さらに検討する必要がある.