著者
十市, 遠忠
出版者
巻号頁・発行日
1535

箱書に「十市遠忠自筆詠草」とある。袋綴じの冊子本を巻子本に改装。裏打ちを施し、見返しには金泥で山や雲を描く。巻首に「兵部少輔中原遠忠」と署名、他の自筆詠草と比較して、同筆と認められる。天文3、4年(1534-35)の和歌339首を収録。尊経閣文庫に同じく天文3、4年の自筆詠草があり、当館本はそれを整理、精選したものといわれる。十市遠忠(1497-1545)は大和の豪族。詠歌に熱心で、三条西実隆などに指導を受けた。多数の自筆詠草が尊経閣文庫等に現存する。「陸軍豫科士官学校圖書之印」を捺す。国語・国文学者岡田希雄(1898-1943)の旧蔵書で、没後同校にはいり、戦後当館の前身国立図書館に寄贈されたもの。『私家集大成』7(中世Ⅴ)に翻刻。