著者
千原 美重子
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.42, pp.153-164, 2014-03

常勤スタッフでないスクールカウンセラーにとって、業務を遂行する上で教育相談コーデイネーターの存在は命綱といえるが、教育相談コーデイネーターにとってその分掌を担当することによりどのような心理的影響を受けるのか調査を行った。まず、女性が男性の約4倍多く担当者となっていた。結果は、まず第1に、教育相談コーデイネーターになることで学校の中で大きな負担があっても、そのことをストレスと感じている場合と、そうでない場合と2分されており、個人差があった。第2に、生徒指導、特別支援教育との連携、スクールカウンセラーとの連携は高いと認識していた。第3に、いじめがあればケース会議が開催されており、学内のコミュニケーションも高いということを示した。第4に、教育相談コーデイネーターになることで教育の見方が変化したとの回答が高く、大きな影響を及ぼしていた。 質問間の相関は、SCとの連携がよいほどコーデイネーターとの閉じられた集団を作りやすい点がうかがえ、今後の課題として指摘できる。スクールソーシャルワーカーはまだ人数的に配置数が少なく、今後充実が望ましい。
著者
千原 美重子
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.38, pp.127-136, 2010-03

学校臨床心理士(SC)52人に質問紙調査を実施した。年齢は20代から60代以上、SC歴も1 年から18年と多様な属性を有していた。学校で実施している活動は、不登校対応が100%、発達障害の対応は96.2%、友人関係90.4%、家庭問題は86.5%と非常に高い活動項目であった。いじめへの対応は3.5%、継続的な面接は46.2%とそう高いとはいえなかった。生徒・保護者への対応としては面接が高い率を占めている。管理職や教員、養護教諭に対しては情報提供となっており、コンサルテーション機能が高いことを示している。他機関との連携として医療機関や適応指導教室が高い。発達障害や情緒的不安定などにかかわり医療に紹介状を提出し、適応指導教室に関しては不登校対応の連携をしている。コミュニティの社会的資源を把握してきたことを示すものである。今では教育相談部会(委員会)には8割以上のSCが関わっている。緊急支援は34.6%のSCが経験していたが、SC歴が6年以上のものが多くの緊急事例の事例を担当している。スクールカウンセリングは、特殊な臨床活動であると同時に、他の心理臨床の視座と共通するものも大切にし、生徒の発達支援をすべきである。