著者
千坂 武志 Corvalan Diaz Jose
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.37-61, 1979-12-20

1970年度の文部省の海外学術調査で「千葉大学南米アンデス山地の地質・古生物学的研究」が実施された。幸いにも私はこれに参加する機会が与えられ,チリ,アルゼンチンの両国に同年の10月から12月まで約3ケ月間出張した。私は主としてチリ国,南部のマドレデデオス島(聖母の島という意味)においてフズリナの化石を採集した。ここは米国のワシントン市にある国立博物館に勤務している、レイモンドCダグラス博士によってくわしく調べられている所であるが,筆者が研究したところ新しく3種類を発見した。しかもそのうち2種類は新種であることがわかった。本研究にあたってはカルロス ルイス フーレル博士をはじめチリ地質調査所の方々から研究に非常な便宜をはかって下された。本研究で層位学の方の研究は主として,ホセコルバランデアス博士がなされたフズリナの研究は主として千坂が担当した。ここから産するフズリナの地質時代は下部二畳系を示している。フズリナの形態的な特徴は個体数は多いが種類の数は少く,殻は細長く,隔壁がうすい。またやせ衰えたような形をしているので,生活環境は非常に悪かったと思う。その原因は寒い気候と関係があるのではないかと思う。
著者
千坂 武志 山崎 良雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.161-184, 1973-08-31

房総南部には鴨川地溝帯,北条地溝帯(館山と千倉間)など断層による凹地形が発達している。館山市,加賀名部落付近は三方が断層によって囲まれた盆地状の地形をなしている,地上調査とともに電気探査法によって地質構造と地下水の賦存状態を研究した結果について報告する。1.地層の分布と地質構造 西岬累層(中新世)-主にシルトからなり本地域の周辺に分布し,丘陵地をなしている。背斜軸は北西から南東の方向にはしっている。鏡ヶ浦層(鮮新世)-おもに凝灰質粗粒砂岩からなり,平野部に分布している。一般的な走向,傾斜はNW-SE,20〜30°NEの単斜構造をなしている。地層の垂直の厚さは北部および東部で50m以上になっている。沖積層-おもに中粒から粗粒の未固結の砂からなり,平野部に広がっている。平野部を流れる2本の河の周辺で数メートル以上の厚さになっている。2.比抵抗値からみた各層の特徴 西岬累層-30(Ω-m)以下の非常に低い値でシルト質の岩相を示している。鏡ヶ浦層-30から185(Ω-m)で,本地域の鐘ヶ浦層の分布している地域の西端で低い値を示す。沖積層-16〜500(Ω-m)で,平野部の中央及び海岸地域で比較的高い値を示す。3.地下水の賦存状態 西岬累層-主に固結したシルトから成る不透水層で,本地域での水理地質学的基盤岩となっている。鏡ヶ浦層-主にやや固結した凝灰質粗粒砂岩から成る透水層で,採水可能の水を多くもっている。本地域内の深井戸はこの水を利用している。平野部の北及び東側でより多く採水できる可能性が大きい。沖積層-主に未固結の砂からなる透水層で自由地下水を含む。本地域内の浅井戸はほとんどこの水を利用している。平野部を流れる2本の川の周辺に多く自由地下水が含まれる可能性が大きい。
著者
千坂 武志 布施 守
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.180-188, 1969-07
被引用文献数
1

栃木県葛生町付近に石炭系(?)〜二畳系の地層が発達しているが,これらは下部は栃木層群,上部は安蘇(あそ)層群に分けられている。安蘇層群の下部には石灰岩の発達した地層があって,鍋山層とよはれている。鍋山層はさらに下部から上部に向って,山菅石灰岩部層,羽鶴苦灰岩部層,唐沢石灰岩部層に分けられる。山菅石灰岩部層は日本のParafusulina帯の化石産地の標式地域として有名なところである。筆者らは葛生町付近の山菅,和田両部落付近の山菅石灰岩部層の地質および古生物について研究した。本部層の略々中央部には不純石灰岩の薄い層があり,そのすぐ下にMinojapanellaの多産する地層がある(この地層を中部層とした)。中部層より下部にあるものを下部層とし,上部にあたるものを上部層とした。Parafusulina kuzuensis n. sp.は殻が特に大きく,円筒形でaxial fillingは軸に沿うて細長く発達し,septaの発達は内部でよく,外方にいくにつれて少なくなっている。Parafusulina wordensis Dunbar and Skinner (Word formation, Glass Mountains, Texas, U. S. A.)に比較するとchomataが小さくapeatureがよく発達していない。Parafusulina nakamigawai Morikawa and Horiguchi(葛生町,アド山層産)に比較するとseptaの褶曲が弱いParafusulina iisakai Igo(岐阜県舟伏山産)に比較するとaxial Fillingが発達している。それで新種として記載した。この大型鐘紡虫は上部層に多く下部層には少ない。上部産のものは一般に大型化したものが多い。Parafusulina進化した型として非常に興味がある。進化の系統樹については将来さらに研究する。