著者
藤田 慎一 千秋 鋭夫 寺田 信之
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.407-415, 1983

1981年10~11月, 相模湾沿岸から八丈島に至る海域の上空と八丈島において, サブミクロンエアロゾルの観測を実施した。観測には静電方式と光散乱方式の2台のエアロゾル計を併用し, 粒径0.003~10μmの粒子総数と粒径分布を, 連続的に求めた。<BR>観測データを解析した結果, エアロゾルの挙動は海域の気象条件に大きく依存することがわかった。高気圧に覆われ弱い北東風が吹く条件下では, エアロゾルは相模湾の沿岸で最大濃度 (~10<SUP>3</SUP>cm<SUP>-</SUP>3) を示し, 離岸距離に対して距離定数が10<SUP>-6</SUP>~10<SUP>-5</SUP>m<SUP>-1</SUP>の指数関数型の減衰を呈した。海上に優勢な偏西風が卓越する条件下では, 八丈島近海のエアロゾル濃度は, 平常時よりも3倍近い増加を示すことがあった。風系を解析した結果, この汚染気魂は中京地域から輸送されたものと推定された。一方, 前線性の擾乱に伴う雨雲の中では, 粒子総数が低下するとともに, 粒径分布の勾配がJungeの逆3乗則から大きく偏奇することを見出した。この粒径分布の変化をエアロゾルと降水要素との相互作用に要因するものと考え, サブミクロンェァロゾルの除去効率をみつもったところ, 観測値は理論的に予想される値よりもはるかに大きなものとなることがわかった。
著者
藤田 慎一 中山 稔夫 矢田部 照夫 千秋 鋭夫
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.183-193, 1984-06-20 (Released:2011-11-08)
参考文献数
20
被引用文献数
2

1982年8~9月, 伊豆諸島・首都圏および関東内陸においてオゾンの観測を実施し, 首都圏のオキシダント濃度に及ぼすパックグラウソドオゾンの影響について検討した。観測データは, 移動平均法を適用して周期と振幅とが異なる三つの成分に分離し, 各成分のモードと気象条件との関係を調べた。首都圏における夏期の高濃度オキシダントの発生パタンは,(1) 24時間周期の変動が卓越する場合と (2) 24時間周期の上に数日周期の変動が重畳する場合の二つに分類できる。(1) は光化学反応によるオキシダントの生成と消滅に, また (2) は成層圏に起源を持つノミックグラウンドオゾンの沈降に関係するものと考えられる。バックグラゥンドオゾンの寄与は低気圧性擾乱の後面で顕在化し, その影響は南北200km以上の広い水平スケールに及ぶことがある。