著者
藤田 慎一
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.335-341, 1988-12-20 (Released:2011-11-08)
参考文献数
21
被引用文献数
1

ガス状・粒子状物質の長期湿性沈着量の推定モデルを導出し, 発生源の周辺における煤塵の沈着量を調べた。気象条件や粒径分布の設定値が, 沈着量の推定値に及ぼす影響についても検討を加えた。点源から大気中へ放出された粒子状物質の積算沈着量は, 無限遠で発生量に漸近するが, そのパタンは粒子の粒径によって異なる。ミクロン領域でも粒径が小さな粒子の沈着量の分布パタンは, 風向の出現頻度と比較的類似した分布パタンを示す。これに対して粒径が大きな粒子の沈着量の分布パタンは, 風速や発生源からの距離にも依存する。サブミクロン~ミクロン領域に分布を持つ煤塵の沈着量は, 発生源の周辺では粒径が大きな粒子に, 遠方では粒径が小さな粒子の挙動に支配される。このため重量を基準にした降水中の煤塵の粒径モードは, 発生源からの距離とともに粒径が小さな方へ遷移する。風系や降雨の統計データを用いると, 直接, 沈着量が推定できるため, このモデルは年~経年の長時間スケールにわたる湿性沈着量を推定するのに適している。沈着量を推定するうえでは, 気象条件とともに洗浄係数-つまり煤塵の粒径分布-を吟味することが, より重要な問題となる。
著者
藤田 慎一
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.241, pp.1-24, 1998 (Released:2011-03-05)
著者
藤田 慎一 千秋 鋭夫 寺田 信之
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.407-415, 1983

1981年10~11月, 相模湾沿岸から八丈島に至る海域の上空と八丈島において, サブミクロンエアロゾルの観測を実施した。観測には静電方式と光散乱方式の2台のエアロゾル計を併用し, 粒径0.003~10μmの粒子総数と粒径分布を, 連続的に求めた。<BR>観測データを解析した結果, エアロゾルの挙動は海域の気象条件に大きく依存することがわかった。高気圧に覆われ弱い北東風が吹く条件下では, エアロゾルは相模湾の沿岸で最大濃度 (~10<SUP>3</SUP>cm<SUP>-</SUP>3) を示し, 離岸距離に対して距離定数が10<SUP>-6</SUP>~10<SUP>-5</SUP>m<SUP>-1</SUP>の指数関数型の減衰を呈した。海上に優勢な偏西風が卓越する条件下では, 八丈島近海のエアロゾル濃度は, 平常時よりも3倍近い増加を示すことがあった。風系を解析した結果, この汚染気魂は中京地域から輸送されたものと推定された。一方, 前線性の擾乱に伴う雨雲の中では, 粒子総数が低下するとともに, 粒径分布の勾配がJungeの逆3乗則から大きく偏奇することを見出した。この粒径分布の変化をエアロゾルと降水要素との相互作用に要因するものと考え, サブミクロンェァロゾルの除去効率をみつもったところ, 観測値は理論的に予想される値よりもはるかに大きなものとなることがわかった。
著者
藤田 慎一
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.72-90, 1993-03-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
107
被引用文献数
5

日本列島は世界でも有数の火山地域である。このため, 火山活動により大気中へ放出される硫黄化合物は, 量的にみて人間活動に匹敵するものと推定されている。本報では, 硫黄化合物の物質収支における火山活動の役割を整理するとともに, 環境の酸性化に及ぼす火山活動の影響について, 最近の研究動向をとりまとめた。日本列島を対象にして, 火山噴出物の輸送をモデル化していくうえで, 検討すべき問題点についても考察を加えた。
著者
藤田 慎一 岡村 和幸 三浦 和彦 高橋 章
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.349-354, 2010
被引用文献数
2

The scavenging ratio of sea-salt components for the winter monsoon was presented on the coastal region of the Sea of Japan. Concentrations of sodium in air and precipitation were analyzed from four monitoring networks, CRIEPI, NPG, NIES/ADORC, and CRIEPI during the period from 1987 to 2008. On the basis of the monitoring data collected, we analyzed (i) seasonal variation and horizontal distribution of sea-salt concentration in air and precipitation, (ii) statistical properties of scavenging ratio on a regional scale, (iii) relationship between scavenging ratio and precipitation intensity, (iv) wet scavenging coefficient on a local scale, and (v) temporal variation of sodium concentration associated with the winter monsoon.<br>
著者
藤田 慎一 中山 稔夫 矢田部 照夫 千秋 鋭夫
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.183-193, 1984-06-20 (Released:2011-11-08)
参考文献数
20
被引用文献数
2

1982年8~9月, 伊豆諸島・首都圏および関東内陸においてオゾンの観測を実施し, 首都圏のオキシダント濃度に及ぼすパックグラウソドオゾンの影響について検討した。観測データは, 移動平均法を適用して周期と振幅とが異なる三つの成分に分離し, 各成分のモードと気象条件との関係を調べた。首都圏における夏期の高濃度オキシダントの発生パタンは,(1) 24時間周期の変動が卓越する場合と (2) 24時間周期の上に数日周期の変動が重畳する場合の二つに分類できる。(1) は光化学反応によるオキシダントの生成と消滅に, また (2) は成層圏に起源を持つノミックグラウンドオゾンの沈降に関係するものと考えられる。バックグラゥンドオゾンの寄与は低気圧性擾乱の後面で顕在化し, その影響は南北200km以上の広い水平スケールに及ぶことがある。
著者
藤田 慎一
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-22, 2002

電力中央研究所は, 関係諸機関の協力のもとに広域的な観測網を展開し, 1987年10月から足かけ10年にわたって東アジアの酸性雨の調査を行った。観測データをもとに, 降水成分の湿性沈着量, 硫黄化合物の収支, 降水組成の季節変化と経年変化, 東アジアの降水化学などの解析を行うとともに, 長距離輸送モデルの検証を進めてきた。<BR>本論文は既往の研究成果をふまえて, 降水成分の濃度と湿性沈着量の地理分布, 季節変化, 経年変化を解析し, 観測の立場から東アジアの酸性雨について総合的な考察を加えたものである。
著者
速水 洋 藤田 慎一
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.354-358, 2006-12-20 (Released:2007-03-29)
参考文献数
15
被引用文献数
5

Concentrations of PM2.5 mass and inorganic ionic components measured in Komae, Tokyo, from FY1998 to FY2005 are analyzed for studying the interannual variability. It is found that the mass concentration tends to decrease annually, and this tendency is pronounced in winter. It is considered from the comparisons with other studies in South Kanto that the decreasing tendency is a relatively large-scale phenomenon, and the PM2.5 mass concentration is being uniformed in the area. Inorganic ionic species do not show such decreasing tendency in general. As a result, concentration ratios of secondary inorganic aerosol (SIA) to PM2.5 mass tend to increase. This could lead to the uniformity in PM2.5 mass concentration. The SIA concentration is high, very close to the US Air Quality Standard for PM2.5. Therefore, the SIA should be more concerned in order to reduce the PM2.5 mass concentration.
著者
速水 洋 内田 敬 桜井 達也 藤田 慎一 三浦 和彦
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.193-200, 2005-09-10
被引用文献数
5

1999年度に, SPMの全国平均の年平均濃度が急減し, 環境基準達成率が大きく改善された。この低濃度の実態を明らかにし, 気象要因を解析した。1999年度のSPMの全国平均濃度は, 月別には4月, 6〜8月, 2月に低かった。このうち7, 8月の濃度低下は関東で著しく, 週単位で低濃度が連続したことが特徴的であった。そこで1999年7, 8月の関東について気象解析を行ったところ, 月間値では他年に比べて強風, 多雨であり, 全月的な濃度低下との関連が示唆された。しかし, 低濃度が連続した期間では低濃度と降水, 風速との関連性は乏しく, むしろ, ほぼ同一風向の風が維持され, 太平洋からの清浄な空気が流入し続けたことが要因であると考えられた。
著者
室崎 将史 藤田 慎一 高橋 章 速水 洋 三浦 和彦
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.347-354, 2006-11-10
被引用文献数
5

静岡県と山梨県の県境に位置する富士山(標高3776m)を観測塔に見立て,高度の異なる20地点で2005年7月12日から7月20日までの9日間,パッシブサンプラーを用いてオゾン濃度の鉛直分布を測定した。山麓の都市部3地点(標高30m〜460m)と丹沢山頂(標高1540m)での自動計測器による測定データをもとに,オゾン濃度の時間変化についても解析を加えた。パッシブサンプラーによって観測期間に測定されたオゾンの平均濃度は,混合層内で約20ppbv,混合層より上層で約40ppbvであり,高度1500m付近を境にして大きな変化がみられた。濃度分布のパターンは,過去に報告された観測結果などと矛盾するものではなかった。自動計測器の観測結果から,富士山頂から水平距離が20km以内の山麓の都市部ではオゾン濃度の日変化は大きく,地域規模の大気汚染の影響を受けていることがわかった。一方,富士山頂から東に約30km離れた丹沢山頂では,夜間に富士山麓の都市部と同レベルまでオゾン濃度が低下することがあり,高度1500m付近でも気象条件によっては,地域規模の大気汚染の影響を受ける場合があることがわかった。このためほぼ同じ高度である富士山の中腹で観測されたオゾン濃度の大きな変化は,地域規模の大気汚染の影響によるものと推定された。