著者
華房 順子 工藤 寛 千葉 陽一
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.751-757, 1999-09-30
被引用文献数
1

症例1は58歳男性.7年前に糖尿病と診断されるも放置.初診時高血糖 (血糖705mg/d<I>l</I>, Hb A1c 14.8%) と高血圧あり, 糖尿病性網膜症, 腎症, 神経障害を認めた. 入院後血糖, 血圧改善するも, 突然, 左上下肢にchorea発現. CTで右被殻に高吸収域を, MRI T1強調画像で右被殻-尾状核に高信号を認めた. 3ヵ月後より症状改善し始め, 画像所見も減弱した. 症例2は46歳男性. 6年前に高血糖指摘受けるも放置. 突然右上下肢にchorea発現. 糖尿病 (Hb A1c 12.1%) と高血圧指摘され2週間入院加療受けるも, 改善不十分なため, 当院受診. 高血圧動脈硬化性眼底変化とともに尿蛋白陽性, 神経障害を認め, 左被殻にCTで高吸収域, MRI T 1強調画像で高信号を認めた. ハロペリドールを使用し発症より2ヵ月後に症状消失し, 5ヵ月後のMRI所見は消失していた. 2例とも糖尿病, 高血圧による臓器障害を有しており, 病因として虚血, 神経伝達物質の乱れなどの関与が考えられた.