著者
松村 謙一郎 田島 平一郎 南野 毅 古賀 満明 前田 滋 矢野 右人
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.1123-1127, 1987-08-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
17
被引用文献数
2

アマニタトキシン(キノコ毒)中毒による劇症肝炎の症例を報告する.45歳,男性,増強する黄疸を主訴として来院.入院時の血液生化学検査でGOT3,410IU/l, GPT 3,762IU/l,プロトロンビン時間150秒以上と著明な肝機能障害を認めた.経過中,肝性脳症II度発症したため,劇症肝炎の診断の下に治療を開始する.病歴,検査結果より典型的アマニタトキシンによる劇症肝炎と診断.血漿交換等を含む積極的治療をおこなった結果臨床症状は回復に向い,救命しえた.本邦においてアマニタトキシン中毒による劇症肝炎の報告はいまだなく,稀有な症例と考え報告する.