著者
印道 緑
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.17, pp.103-129, 2019-03

この論文では、初級日本語の授業において教師と学習者がどのようなインターアクションを行っているのかを、教師の教授行動と学習者の反応、特に自発的行為としての学習者の発話に焦点を当てて明らかにする。インターアクションの分析の枠組みとしては、教師の教授行動の中の「質問の技術」「説明の技術」「学習者への指示の技術」の3つ、学習者の行動からは「教師の質問への反応」「学習者による自発的言語行動」の2つと、「それらに対する教師の対応(フィードバック)行動」の計6つのカテゴリーを取り上げる。この論文の目的は、教師側と学習者側の2方向の行動からクラス内のインターアクションの様相を把握することによって、より効率的で、複数の学習者間のインターアクションが活発に行われる授業を構築する方法を提案することである。
著者
印道 緑
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.15, pp.93-112, 2017-03

この論文では、初級日本語の授業において、教師が学習者の反応についてどのようなフィードバックを行っているかを明らかにすることを目的としている。90分の授業の様子をビデオに録画し、それを文字化した資料をもとに、学習者からの自発的言語行動 (learner initiatives) によって引き起こされた教師のフィードバック行動 (follow-up moves) を抜き出し、その機能を分析、分類した。語学の授業のインターアクションにおける特殊性は言語が教育の内容 (content) でもあり、また、教育の手段 (medium) でもあるという点である。一般的に語学の授業の談話 (discourse) においては、form-focused talk (文型や文法に焦点を当てた談話) とcontent/meaning-focused talk (意味や話大に焦点を当てた談話) の2つの形態が現れ、前者はnon-communicative talk、後者はcommunicative talkであるとされる。しかし、この論文ではこの2つを対立するものとしてではなく、互いに補完しあうものとしてとらえる。その上で、教師が学習者との対話を維持し、深めていくために、そのfollow-up movesがどのような役割を果たしているのかを探る。