著者
原 やよい 中島 富有子 庄山 茂子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.679-688, 2020-09-25 (Released:2020-09-25)
参考文献数
19

精神科病院に入院中の患者64 名を対象に,病室にふさわしい・ふさわしくない寝具の色と異なる6 色の寝具に対する印象を調査した.寝具の色には,白とペール(うすい)トーンの赤,黄,緑,青,紫を用いた. (1) 病室にふさわしい寝具の色は,男性は白,女性はうすい赤を最も多く選択した.ふさわしくない寝具の色は,男性はうすい赤,女性はうすい黄を最も多く選択した. (2) うすい赤に対して抱くイメージに,男女間で最も多く有意差がみられた.女性の方が男性よりうすい赤に対し肯定的なイメージを抱いた. (3) うすい青に対して抱くイメージに,回答時の気分による差がみられた.気分が暗い患者の方が,うすい青に対し安心できる寝具であると評価した. (4) 因子分析の結果,「心理的快適性」,「機能的快適性」,「派手さ」の3 因子が抽出された.「心理的快適性」の平均因子得点は,うすい青,白,うすい緑が高かったことから,これらの色は 精神科病院の寝具に推奨できることが確認された.