- 著者
-
西岡 敦子
- 出版者
- 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
- 雑誌
- 繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.4, pp.332-338, 2013-04-20 (Released:2017-06-30)
- 参考文献数
- 20
現代では,「化粧は女性がするもの」とされている.しかし,自分を美しく見せたい,他人に良く思われたいという気持ちで化粧をする女性がいるのであれば,同じ気持ちで男性が化粧をしても良いのではないか.男性の化粧行動に対して,周囲の違和感がない環境になれば,生きやすいと感じる男性も出てくるのではないか. そこで,日本の男性の化粧行動の経緯を概観し,今後の男性の化粧行動について個人の意識,意見も踏まえて考察した. 男性は化粧をするものではないという意識が広がり始めたのは明治時代である.その後,男性用化粧品,男性用エステ,男性向け美容雑誌,化粧をした男性有名人の影響,眉を整えたスポーツ選手の活躍で,男性の化粧に対する周囲の意識は徐々に変化していった.化粧をしたい,また,普段からしているという男性や,男性にも化粧をして欲しいという女性も存在していることもわかった.今後,男性の化粧行動も受け入れられていく可能性は大いにあるだろう.しかし,男性の化粧行動が受け入れられたとしても,現在,成人女性に対して存在する,化粧をして当たり前であり,すべきであるという社会風潮が男性にも広まってはならないと考える.