著者
杉浦 克明 原崎 典子 吉岡 拓如 井上 公基
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.43-49, 2014
被引用文献数
5

本研究は児童の知っている樹木に焦点をあて, どれくらい, どのような樹種名を思いつき, どのように知ったのかを分析することを目的とした。調査は, 神奈川県藤沢市の市立小学校5校の4年生440名の児童を対象に, どのような樹種名を思いつき, 何をきっかけに知ったのかを把握するために, 思いつく樹種名の記入と, その樹種名を知った理由についてのアンケートを実施した。五つの小学校の児童が回答した上位20種をみると, サクラやモミジ等の樹種名であった。これらの回答された樹種名は, 「校内」, 「公園」, 「道」をきっかけに知った児童が多かった。つまり, 学校, 公園, 近くの道にあることで樹種名が認識されており, 児童の周辺環境が影響を与えていると考えられる。それ以外の樹種名では, リンゴ, ヤシ, ブドウ, バナナ, ナシなど小学校周辺ではみられない食用となる果実がなる樹種名が多かった。身近ではみられないこれらの樹種名を知る要因に, テレビの影響も考えられる。また, 授業で習ったため知ったと回答された樹種名もあった。以上のことから, 樹種名を知るきっかけとして校内や公園の環境, 授業等での教育, テレビが影響を与えている可能性が考えられた。