著者
黒田 賢俊 原田 朗 遠峰 菊郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.145-151, 1998-02-25

海面水温と台風の強度に関して, 統計的に解析した。海面水温に関しては, 緯度経度1゜の格子で, 0.1℃単位で得られた10日平均値を用いた。0.5℃の海面水温階級毎に求められた熱帯低気圧の強度の百分位数は, 海面水温の関数となっていることが示された。熱帯低気圧の可能最大強度に対する相対的強さを定義して, 観測時に28.5℃より高い海面水温上にあった熱帯低気圧について, 相対的強度の異なる熱帯低気圧を比較した。相対的強度がより強い熱帯低気圧は, 観測時の前1日もしくは2日間に, より高温の海面水温の海域にあったことかわかった。さらに中心気庄の低下の時間的速さが海面水温に依存していることがわかった。海面水温が高いほど中心気圧の低下が速い。