著者
原田 登之 樋口 一恵 関谷 幸江 ROTHEL Jim 木藤 孝 森 亨
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.725-735, 2004-12-15
参考文献数
21
被引用文献数
20

[目的] 新規結核菌感染診断法である全血インターフェロン・ガンマ (IFN-γ) 応答測定法QuantiFERoN<I>&reg;</I>TB-2Gの最適カットオフ値設定を中心とし, その基礎的な特性を検討した。 [対象] 健常人群: 結核菌暴露のリスク要因が確認されない若年健常人220人。結核患者群: 結核菌培養陽性の活動性結核患者118人。接触者群: ある接触者健診でツベルクリン反応 (ツ反) 発赤径が30mm以上あった若年健常者75人。 [方法] 被験者の全血を結核菌抗原で刺激培養後, 血漿成分中のIFN-γ産生量をQuantiFERoN<I>&reg;</I>-CMIにより測定した。測定結果は, ROC曲線と陽性・陰性の誤分類による損失の検討を行い, カットオフ値を設定した。 [結果] カットオフ値はESAT-6, CFP-10双方に対して0.35IU/mlと設定し, その感度は89.0%, 特異度は98.1%であった。 [考察] 未感染健常者において, 全血IFN-γ応答測定法はBCG接種に全く影響されなかった。また, 2種の結核抗原に対するIFN-γ応答の相関は弱く, 判定には両者を独立に用いる必要があった。さらに, 既感染率が高い集団に本法を適応する際, カットオフ値はより低いレベルに設定し, 陽性的中率をあまり下げずに見落としを減らすべきであると考えられる。