著者
友次 淳子
出版者
大阪城南女子短期大学
雑誌
大阪城南女子短期大学研究紀要 (ISSN:03884929)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.35-48, 2001-02-28

歯ごたえがありもっちりしているので餠大豆といわれる大豆からはたしてもっちりした豆腐が出来るだろうか、出来れば商品価値があるだろうか、から出発した今回の研究であった。まず調理学的特性を探り、膨潤度、煮豆の固さ、成分の分析、顕微鏡組織観察を行った。また木綿豆腐、絹豆腐の粘性測定を行い次の結果を得た。餠大豆は通常の豆腐を製作する大豆より粒が大きく、成分的には二糖類のスクロース、三糖類のラフィノース、四糖類のスタキオースなどの少糖類が鶴の子大豆よりきわだって多かった。又多糖類を構成するアラビノース、ガラクトースはやや少なくマンノースは多かった。官能的にはわずかに甘味を多く感じることが出来た。又粘りにおいては豆腐では残念ながら木綿豆腐、絹豆腐ともきわだった差は見られなかったがおからにはおからとは思えないはどの粘性があった。しかし粘性を現す成分も明確に確定するにいたらなかった。粘性のあるおからを利用したコロッケやケーキなどの工夫された調理法があるのではないかと思われるが、今後の研究としたい。煮豆は官能的にも、もっちりとした歯ごたえと甘味があり味をつけなくても美味しい煮豆と感じられた。以上のことから粘性は皮の部分に集中し、煮豆を食した際の粘り感から餠大豆といわれるようになったということであろうか。豆腐工房「雨滝」では、豆腐作りに適した豆の条件や水などの複雑な条件など貴重な話を伺った。多くの消費者に好まれる理想の豆腐をプラントレベルで加工可能な適性を持つ理想の大豆には、多くの科学が存在するのである。この研究は個人特別研究費を賜りました。感謝申しあげます。