著者
白樫 正高 古塩 淳 徳長 靖 橋本 斉 脇屋 正一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.75-82, 1986
被引用文献数
2 1

ポンプ・管路系による雪の水力輸送を,市街地のような広い地域からの排雪手段として適用する場合,小径の管を順次合流させ,大径管により長距離を輸送するのが適当と考えられる.本研究ではこのような樹木状配管における合流部の形状で最も基本的と考えられるT字形合流管における雪水二相流の損失動力を実験的に調べた.内径77mmの本管に同径の支管が直角に交る合流管において,雪の吐出し体積分率の等しいざらめ雪・水二相流が合流する場合の,合流前の本,支管流量Q1,Q2,管に沿った圧力の低下,合流後の雪の吐出し体積分率を測定した.比較のための試料としてプラスチックビーズを用いた.合流後の流量Q3一定の条件下で雪水二相流の合流損失は清水(せいすい)の場合と同様の挙動を示した.すなわち,雪水混合体を均質流体とみなして定義した合流損失係数と流量比Q2/Q3の関係は清水の場合とほぼ一致し,雪の混入による合流損失係数の増加は小さい.これに対し,プラスチックビーズ・水二相流ではビーズの分率とともに合流損失係数が大きくなる傾向が明らかである.以上の結果から,ざらめ雪・水二相流のT字管における合流損失動力は,清水についての合流損失係数を用いて概略推定する事ができると考えられる.