著者
内山 聡至 日詰 正文 古屋 和彦
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.30-45, 2021 (Released:2022-03-10)
参考文献数
8

本研究では,発達障害者支援センター,地域包括支援センター,社会福祉協議会を対象に,発達障害の診断がある高齢者および発達障害の可能性がある高齢者とその家族等からの相談の実態調査を行った.その結果,各機関において一定数の高齢期発達障害者の存在が確認された.相談内容の主訴として,発達障害者支援センターでは発達障害に関すること,地域包括支援センターでは高齢に伴う諸問題に関すること,社会福祉協議会では金銭に係わる生活困窮に関すること,が傾向としてみられた. 各機関の高齢期発達障害者の支援経験は乏しく,地域連携や研修会等も行われていないのが現状であった.調査結果より,高齢期の発達障害者への支援に関する今後の課題について,①家族支援の構築,②支援者の研修体制の構築,③精神保健,医療を含めた地域連携の構築,④発達障害理解のための啓発活動の推進の4点が挙げられた.