著者
古川 亮子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.290-298, 2006-07
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究は,両親学級の実態調査を通して,今日の妊婦教育の現状・課題を検討することを目的とする。対象は,新潟県内の医療機関49施設と行政機関115施設のうち,倫理的配慮のもとに研究協力を得られた86施設であった(回答率52.4%)。1)行政機関による両親学級の実施率は,医療機関による両親学級の実施率に比べ有意に高かった(p<0.05)。2)両親学級の実施率は,土・日・祝日(p<0.01)または午前中と夕方(17時以降)(p<0.05)において,母親学級に比較し有意に高かった。3)両親学級の妊婦以外の参加者,特に夫・パートナーの参加は,母親学級に比べて有意に高かった(p<0.05)。4)新生児に関する演習の実施は,両親学級が母親学級に比較して有意に高かった(p<0.01)。5)評価の実施は,両親学級(48.0%)が母親学級(26.7%)に比べ有意に高かった(p<0.05)。両親学級と母親学級の実施状況には,上記の5項目以外には大きな差はみられなかった。今後は,「両親学級」の普及に及んだ社会背景やその特徴を考慮しつつ,家庭にも男女共同参画を盛り込んだ妊婦教育の提供を考慮する必要がある。