- 著者
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田村 紘基
大喜多 鋼治
片山 則昭
古市 隆三郎
- 出版者
- 公益社団法人日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.11, pp.831-836, 1994-11-05
- 被引用文献数
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7
土壌や底質の主要成分である酸化鉄(III)粒子と接触する自然水や汚染水の水質の理解とその変動の予測のために, 次の仮定の下で二価重金属イオンの吸着反応のモデル化を行った.1)重金属イオンと酸化物表面水酸基プロトンとの(1 : 1)及び(1 : 2)交換反応による表面錯体形成, 2)表面被覆率の増加に伴うGibbs自由エネルギー変化の線形増加による吸着抑制.モデルパラメーターとして表面錯体の安定度定数及び吸着抑制定数を決定し, イオンの吸着親和性を求めた.その序列はCo^<2+>≤Zn^<2+><Cu^<2+><Pb^<2+>であった.これらのイオンの表面錯体の安定度定数とヒドロキソ錯体の安定度定数の報告値との間には, よい相関が認められた.これは, ヒドロキソ錯体と同様に, (格子)酸化物イオンから(吸着)金属イオンへの電子対供与を考える表面錯体モデルを支持する.