著者
古賀 菜津季 大田尾 浩 上城 憲司
出版者
公益社団法人 佐賀県理学療法士会
雑誌
理学療法さが (ISSN:21889325)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.23-28, 2017-02-28 (Released:2017-04-12)
参考文献数
9

要旨:[目的]1 分間語想起スクリーニングテストによる認知機能低下を判別するカットオフ値を検討した。併せて語想起された産生語の傾向について調査した。[対象]地域在住の女性高齢者51名(平均年齢:76.7±8.1歳)とした。[方法]測定項目は,1 分間語想起スクリーニングテスト,挙げられた産生語,Mini-mental state examination(MMSE)とした。1 分間の語想起テストは1 分間にできるだけ多く動物名を挙げるように指示した。各測定項目の関連を相関係数にて検討した。また,MMSE から認知機能低下の有無を群分けし,1 分間語想起スクリーニングテストの ROC 曲線を描出しカットオフ値を検討した。[結果]1 分間語想起スクリーニングテストと MMSE とのあいだに(r=0.49,p<0.01)有意な相関が認められた。ROC 曲線のAUC は0.74〜0.99であり,認知機能低下を判別する 1 分間語想起スクリーニングテストのカットオフ値は12/11個(感度100.0%,特異度53.3%,正診率58.8%)が適切であると判断された。産生語は回答率が高い順に,イヌ,ネコ,サル,キリン,トラ,ウシであった。[結論]1 分間語想起スクリーニングテストは認知機能低下の発見に有用であることが示された。また,語想起された産生語はペットや干支の動物名を挙げることが多いことが明らかとなった。