著者
野口 康人 叶 璟 成合 智子 井上 智雄
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.26-36, 2016-02-18

ビデオ会議システム等による遠隔コミュニケーションの普及にもかかわらず,その音声環境は現在でもモノラルまたは2chステレオ程度であることが多い.しかし,多人数が遠隔から参加する場合に,複数の参加者の音声が同一スピーカを用いて再生されると聴き取りにくいと考えられる.本研究では多人数会話における発話音像の定位を数箇所に分散させることの効果について非母語条件も含めて実験的に検討した.同時発話時に認識できる単語数を測定したところ,母語,非母語にかかわらず定位を分散させた方が聴き取りの成績がよく主観的にも効果的であること,少なくとも1名の話は聴き取れると期待できる同時話者人数の限界が2名から3名に向上することが分かった.非母語によるコミュニケーションを含む遠隔会話において,音像定位分散の活用可能性を示すことができた.