著者
合田 文則
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.235-241, 2008 (Released:2008-11-26)
参考文献数
11
被引用文献数
7

胃瘻からの半固形化栄養材短時間摂取法(以下、半固形化法と略)は、健常人が1回で食べる量を、健常人が口の中で噛み砕いてできる半固形状の食塊にして、健常人が食べる短時間で胃瘻から摂取する方法であり、消化管機能の保たれた胃瘻患者にとって最も生理的な消化管運動や消化管ホルモン分泌、消化吸収が得られる胃瘻からの栄養摂取法である。重要なポイントは、胃内でスベリを起こさず胃を十分に伸展させる適切な粘度(20,000cP程度)のある半固形化栄養材を、適切な量(400~600mL)だけ短時間(15分程度)で注入することである。この生理的な摂取法により従来の液体栄養剤による緩徐な注入法と比べ、(1)胃食道逆流や瘻孔からの逆流が防止により誤嚥性肺炎やスキントラブルを防止、(2)注入の短時間化により臥床の時間が短縮され褥瘡の予防、リハビリテーションやADLの時間確保でき患者のQOLの改善、家族や介護者の労働力の軽減、(3)ダンピング症状や下痢の解消、などの多くのメリットがあり急速に普及してきた。反面、半固形化栄養材に関する研究や開発はまだまだ途上であり安易な半固形化法の導入には多くの問題点も存在する。本稿では現状での半固形化法の問題点とその解決法について概説した。