著者
田中 茂穂
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.1013-1019, 2009 (Released:2009-10-20)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

総エネルギー消費量は、基礎代謝量と食事誘発性体熱産生、身体活動によるエネルギー消費量に分けられる。基礎代謝量は、標準的な日本人において約6割を占めるが、体格・身体組成からある程度推定できる。ただし、ハリス・ベネディクトの式では、若い年代をはじめ、成人全体において、過大評価する傾向がみられる。一方、身体活動、特に運動以外の身体活動によるエネルギー消費量 (NEAT) には、同じ体格でも大きな個人差がみられる。総エネルギー消費量を推定するための方法としては二重標識水 (DLW) 法がベストの方法とされているが、現実的には、それぞれの方法の特徴をふまえた上で、加速度計法あるいは生活活動記録などを用いることとなる。
著者
名德 倫明
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.717-724, 2014 (Released:2014-05-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

輸液を管理する上で、混合する注射剤や使用する医療用具を考慮する必要がある。注射剤は、多剤を配合することにより外観変化や力価低下等の配合変化を起こすことがある。また、接触時間の短い側管からの投与においても配合変化を起こす組合せがある。薬剤だけでなく医療用具においても、その材質により薬剤の吸着・収着、可塑剤(DEHP)の溶出、輸液フィルターの影響等、多くの問題があり、それらを解決していかねばならない。本稿では、これらの問題に焦点をあて、その原因と解決策を概説する。
著者
若林 秀隆 栢下 淳
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.871-876, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
9

【目的】摂食嚥下障害スクリーニング質問紙票であるEAT-10の日本語版を作成し、信頼性・妥当性を検証する。【対象及び方法】EAT-10英語版の順翻訳、逆翻訳、英語原版と逆翻訳の整合性の検討を行い、EAT-10日本語版を作成した。次に摂食嚥下障害もしくは摂食嚥下障害疑いの要介護高齢者393人を対象にEAT-10日本語版を実施した。信頼性を内的整合性であるクロンバッハのα係数で、妥当性を臨床的重症度分類とスペアマンの順位相関係数でそれぞれ検討した。【結果】EAT-10日本語版を実施できたのは237人(60%)であった。クロンバッハのα係数は0.946であった。EAT-10を実施できない場合、摂食嚥下障害と誤嚥を有意に多く認めた。EAT-10と臨床的重症度分類に有意な負の相関(r=-0.530、p<0.001)を認めた。EAT-10で3点以上の場合、誤嚥の感度0.758、特異度0.749であった。【結論】EAT-10日本語版の信頼性・妥当性が検証された。EAT-10日本語版は、摂食嚥下障害スクリーニングに有用な質問紙票である。
著者
三好 真琴 宇佐美 眞 藤原 麻有 青山 倫子 前重 伯壮 高橋 路子 濵田 康弘
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.915-921, 2013 (Released:2013-08-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1

近年、腸内フローラは肥満やメタボリックシンドロームに関与する環境因子として注目されている。腸内フローラは、未消化食物成分を代謝し、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸などを宿主に供給しており、その機序の一つとして腸内分泌細胞のI細胞やL細胞上の栄養受容体が関与している。脂肪酸レセプターは、短鎖脂肪酸がGPR41、GPR43、中鎖、長鎖脂肪酸がFFAR1、GPR120と近年同定された。特に腸内フローラの代謝物である短鎖脂肪酸はレセプターやトランスポーターMCT-1を介して多様な機能を発揮し脂質代謝へも効果を及ぼすと考えられている。さらに、短鎖脂肪酸の代謝仮説に基づいて腸内フローラと脂質濃度の関連を解析した我々の結果を交えて、腸内細菌と脂質代謝について概説する。腸内フローラと多価不飽和脂肪酸の関連が新たに得られ、更なる検討が必要であろう。
著者
若林 秀隆
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1045-1050, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
4

高齢者では軽度の侵襲や短期間の安静臥床でも廃用症候群を認めやすい。高齢者の廃用症候群の約9割が低栄養であり、廃用症候群は安静臥床と低栄養の両者による病態といえる。廃用症候群では二次性サルコペニアを認めることが多く、サルコペニアの原因の適切な評価と対応が重要である。高齢者の廃用症候群では低栄養、低アルブミン血症、悪液質を認める場合に機能予後が悪い。そのため、早期離床や機能訓練だけを行うのではなく、リハビリテーション栄養管理を行うことが重要である。侵襲の異化期の場合、関節可動域訓練や呼吸訓練だけでなく、座位、立位、歩行訓練を実施する。侵襲の同化期では筋力増強訓練や持久力増強訓練を行う。飢餓の場合、筋力増強訓練や持久力増強訓練は禁忌であるが、安静臥床も除脂肪体重がより減少するため不適切である。悪液質の場合、抗炎症作用のあるエイコサペンタエン酸や運動療法が有用な可能性がある。
著者
千貫 祐子 高橋 仁 森田 栄伸
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.615-618, 2013 (Released:2013-04-24)
参考文献数
9
被引用文献数
1

セツキシマブはEGFRを標的とするヒト/マウスキメラ型モノクローナル抗体で、本邦では大腸癌の治療薬として用いられている。近年、米国において、セツキシマブによるアナフィラキシーの原因がgalactose-α-1, 3-galactose (以下、α-galと略) に対する抗糖鎖抗体であることが報告され、これらの糖鎖がウシやブタやヒツジなどの哺乳類に豊富に存在するため、これらを摂取した時にもアナフィラキシーを生じることが報告された。筆者らの施設で経験した牛肉アレルギー患者についてセツキシマブ特異的IgEを測定したところ、いずれも高値を示し、牛肉特異的IgE値と相関関係が認められた。このことから、セツキシマブ投与前に牛肉特異的IgEを測定することによって、α-galが原因となるセツキシマブのアナフィラキシーを未然に防ぐことが出来る可能性がある。
著者
名徳 倫明
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.787-792, 2009 (Released:2009-06-11)
参考文献数
9

薬剤師は、その職能を活かし医薬品を適正に使用していく上で積極的に関与しなければならない。そのためには、処方意図を把握した上で、薬学的見地に基づいて医師や他の医療従事者と検討する必要がある。輸液療法では、輸液の基礎を把握し、それぞれ患者の病態や検査値等の変化を確認し、処方チェックを行い、また提案していく必要がある。また、患者に何らかの変化や異常があった場合、薬剤による副作用かどうかの可能性も考慮しなければならない。本稿は、輸液の基本とナトリウム(Na)管理、また血清Naに異常を起こす薬剤に焦点をあて、薬剤師に必要なポイントを述べる。
著者
佐々木 雅也
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.637-642, 2012 (Released:2012-05-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

経腸栄養剤の種類が多様化し、疾患や病態に応じた使い分けが可能となっている。クローン病の経腸栄養療法、あるいは短腸症候群や膵外分泌不全などの吸収不良症候群における成分栄養剤・消化態栄養剤の使用は病態別経腸栄養法として有用性が確立されており、経腸栄養法が適応となる代表的な疾患である。近年、経腸栄養剤の種類が多様化し、病院で特別食を提供するのと同じように、病態別経腸栄養剤を選択することが可能となった。しかし、医薬品の病態別経腸栄養剤は肝不全用のヘパンED®配合内用剤とアミノレバン®EN配合散の2剤に過ぎず、それ以外は全て食品扱いの経腸栄養剤である。これらは、糖尿病、腎不全、呼吸不全など種々の病態に適した組成となっている。また近年、免疫調整栄養素を強化したimmunonutritionも注目されている。しかし、なかには組成上の特徴だけで病態別経腸栄養剤に位置づけられ、十分なエビデンスがない栄養剤も少なくない。病態別経腸栄養剤の使用においては、個々の症例において確かな有用性を評価して用いるべきである。
著者
深柄 和彦
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.909-913, 2013 (Released:2013-08-23)
参考文献数
9
被引用文献数
2

NST活動の広がりとともにわが国でも脂肪乳剤の利用が増えつつある。しかし、脂肪粒子の代謝スピードの問題、脂肪乳剤存在下での病原体増殖の問題、ω6系脂肪酸を主成分とする大豆油由来であるがゆえの炎症反応増悪の危険性、がある。したがって、1) 適正な投与スピード・量を守る、2) 輸液ラインの24時間以内の交換、3) 高度な炎症反応が生じている急性期での投与を控える、ことに注意をはらう必要がある。
著者
福田 能啓
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.5-17, 2012 (Released:2012-03-13)
参考文献数
3
被引用文献数
1 2

栄養サポートチームが全国的に活動し、栄養不良症例のQOL向上に役立っている。栄養素は食品として摂取され、消化の過程を経た後に吸収され。吸収された栄養素はおもに肝臓で合成、代謝され「栄養」としての役割を果たしている。本稿では、NSTで知っておきたい消化と吸収の概略を述べたい。.
著者
寺島 秀夫 只野 惣介 大河内 信弘
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.1027-1043, 2009 (Released:2009-10-20)
参考文献数
67
被引用文献数
8

侵襲が加わった生体のエネルギー需要は、侵襲反応として供給される内因性エネルギー供給と栄養療法として投与する外因性エネルギー供給の相互作用によって充足される。現在、内因性エネルギー供給を測定することができないため、外因性に投与する至適エネルギー量が算定できない状況にある。故に、栄養療法の立案に際してその基軸となるべき至適エネルギー投与量が決定できないために、最適化された栄養療法を実践することが困難となっている。従来の栄養療法は、侵襲下においても生体のエネルギー消費量を外因性にすべて供給するとした基本概念を採用してきたが、このエネルギー投与法は必然的に過剰エネルギー投与として作用して有害事象が発生するため、蛋白代謝の改善が得られないばかりか、栄養療法自体が有害、逆効果になり兼ねない問題を内在していた。こうした状況を踏まえ、侵襲下の代謝動態に基づくエネルギー投与法の考え方を提言して論証を行った。
著者
若林 秀隆
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.837-842, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
33

サルコペニアの定義は、狭義では加齢による筋肉量減少、広義ではすべての原因による筋肉量減少、筋力低下、身体機能低下となる。成人低栄養の原因である飢餓、侵襲、悪液質は、すべて二次性サルコペニアの原因でもある。つまり、高齢者で低栄養を認める場合、二次性サルコペニアのことが多い。高齢者では低栄養とQOLに関連を認め、栄養改善で身体的QOLと精神的QOLを改善できる。サルコペニアとQOLの関連も示唆されるが、サルコペニアの改善によるQOL改善のエビデンスは乏しい。 サルコペニアに対する栄養補給は、高齢者の筋肉量と筋力を改善させる。ただし臨床現場では、広義のサルコペニアの原因である加齢、活動、栄養、疾患の有無をそれぞれ評価したうえで対処する。サルコペニアの原因によって、レジスタンストレーニングの可否や栄養療法の内容が異なるからである。サルコペニア対策では、リハビリテーション栄養の考え方が有用である。
著者
井上 善文
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.573-579, 2010 (Released:2010-05-20)
参考文献数
10

必要エネルギー量の算定方法として、Harris-Benedictの公式(HBE)から基礎エネルギー消費量(BEE)を求め、これに活動係数とストレス係数をかけて計算する方法が用いられている。しかし、HBEからBEEを求める方法は過剰評価になる場合が多いことが認められている、本邦で用いられている活動係数およびストレス係数の多くは根拠となる検討結果に基づいたものではない、またその数値としての選択は結果的に主観的なものとなる、などの問題がある。基本的投与量として25~30kcal/kg/日を設定し、ストレスの度合に応じて増減し、積極的なモニタリングを行いながら投与量・組成を調整する方法の方が臨床的ではないかと考える。
著者
伊藤 明美 水落 雄一朗 嘉村 由美子 太田 美穂 竹山 廣光 祖父江 和哉
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.991-995, 2011 (Released:2011-06-15)
参考文献数
15

本邦において入手できる微量元素製剤にはセレンが含まれていないため、在宅中心静脈栄養 (Home Parenteral Nutrition;以下HPNと略) 管理中にセレン欠乏症を起こす危険性は少なくない。今回、HPN管理開始3年でセレン欠乏症を発症し、これまでに報告のない毛髪形態変化 (巻き毛) をはじめ多様な臨床症状を呈し、院内セレン製剤の投与により一定の症状改善をみた症例を経験した。セレン欠乏症による臨床症状は、重症化すると不可逆となる可能性があり、その予防には臨床症状の慎重な観察とセレン値の定期的なモニタリングが必要である。
著者
田渕 裕子 大石 雅子 辻本 貴江 小西 祐子 畑 伸顕 清水 健太郎 曹 英樹 和佐 勝史 福澤 正洋
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.1119-1123, 2011 (Released:2011-08-25)
参考文献数
7

【目的】経腸栄養剤のpHの変化に対する反応を観察し、1%重曹水を用いた経腸栄養チューブ閉塞に対する効果について検討した。【方法】経腸栄養剤2種 (エンシュア・リキッド®、ラコール®) に酸 (0.1N HCl)、アルカリ (1%重曹水、0.1N NaOH) を添加し、pHの変化に対する経腸栄養剤の凝固の程度を観察した。また、臨床的にも1%重曹水の経腸栄養チューブの閉塞防止効果を検討した。【結果】2試料とも酸に接触すると凝固し、アルカリを加えると凝固物はpH上昇に伴い溶解した。アルカリを加えた場合は外観に変化はなかった。また、経腸栄養チューブ閉塞を繰り返す臨床例に対し、1%重曹水をチューブの洗浄に予防的に用いたところ閉塞を起こすことなく投与続行可能であり、チューブ閉塞症例に対しても開通し投与が再開できた。【結論】1%重曹水は経腸栄養チューブ閉塞防止に有用な手段と考えられる。
著者
田中 弥生
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.1143-1149, 2014 (Released:2014-10-20)
参考文献数
4

2025年開始を目指した地域包括ケアシステムは、地域住民のニーズに応じた住宅が提供されることを基本とし、「生活上の安全・安心・健康を確保するために医療や介護のみならず、福祉サービスも含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」と定義されている。この定義の中には、「食生活及び栄養障害の改善、疾病の再発予防や疾病の予防ができ、地域住民が住み慣れたところでその人らしい生活を送ることができる」ということも含まれており、そのためには要介護高齢者は病院から施設、在宅に移り変わっても一連で適切な栄養管理が必要である。栄養ケアに関する情報の提供、ケアマネジャーを中心とした多職種の協力、地域社会に密接した全高齢者への主観的栄養アセスメントの徹底、地域家族も含めて多職種全てのスタッフが共通の概念をもつことが重要であり、科学的根拠に基づく栄養管理を地域包括ケアシステムで共有することが必務である。
著者
東口 高志
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.965-976, 2011 (Released:2011-06-15)
参考文献数
20
被引用文献数
5

【目的】酵素分解法を用い一般の食事と全く変わらない自然な外観と風味を保ちながら、口腔内で容易に溶解し咀嚼困難や嚥下障害患者の経口摂取に適した形状を有する新しい食品“あいーと®”を開発した。その形状機能を評価する目的で、物性測定と組織成分を分析するとともに人工消化液への浸漬試験による崩壊性と消化性を検討した。【対象と方法】保形軟化食品“あいーと®”の物性と組成、ならびに人工消化液中での崩壊性と消化性について解析し、咀嚼および嚥下機能障害症例に対する有用性について通常調理の“常食”を対照として検討した。物性値はクリープメータを、蛋白分析はSDS電気泳動法を、食物繊維分析は酵素-重量とHPLC法を用いた。消化実験は、人工唾液、胃液および腸液中に浸漬し37℃で60分間反応させ、その残渣率や蛋白溶出量などを検索した。【結果】“あいーと®”の硬さは、いずれの食材でも2×104 N/m2以下の“常食”に比べて著しく低い値を示した。その変化は酵素処理によって食物の骨格を形成する蛋白や食物繊維が容易に消化され、低分子化されることによってもたらされることが判明した。人工唾液、胃液や腸液を用いた人工消化液浸漬実験では、“あいーと®”は常食に比べ速やかに崩壊し、わずかに残渣を残すまでに消化されることが示された。また、“あいーと®”の成分である蛋白は消化液中へ速やかに溶出しており、その濃度は常食に比べ明らかに高値を示した。【結論】酵素分解法を用いた保形軟化食品“あいーと®”は、外観は全く常食と変わらないが、口腔内でその形状が変化し咀嚼および嚥下がしやすい軟らかさと物性を有することが判明した。したがって“あいーと®”は咀嚼、嚥下機能や消化管機能が低下した高齢者や消化管術後早期の患者の経口栄養に適した全く新しい栄養製品であることが示唆された。
著者
松原 肇 矢後 和夫
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.1169-1174, 2009 (Released:2009-12-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

TPN施行時の輸液フィルター使用は, 感染防止, 塞栓防止の観点から有用である. しかし, 薬剤によっては, 輸液フィルターに吸着され, 場合によっては, 治療に影響を及ぼす場合がある. 本稿では, 輸液フィルターへの薬剤吸着の機序, 考え方などについて述べる.