著者
吉岡 濶江
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

【得られた新たな知見】茶カテキンが、何故、放射線によるDNA損傷を防御するのか、その機構について調べた。その結果、^<60>Coγ線およびトリチウム水中でのβ線照射等によって誘発されたDNA鎖切断の主な因子はヒドロキシルラジカル(・OH)によるものであり、茶カテキンによる防御効果は、そのラジカルを消去しているためであることを、固相スピンとラッピング法を用いたESR測定により確認出来た。また、茶カテキン(EGCg)がDNAの塩基対間にインターカレートしている現象を見いだした。そしてDNA近傍にあるEGCgが放射線によるDNA損傷を防御することもわかった。さらに、一本鎖DNA鎖切断に対するG値(1×10^<-4>mol/l)をも算出した。他方、遷移金属(鉄(II)クエン酸)錯体によによるDNA損傷機構および、それに対する茶カテキンの影響について詳細に調べた。DNA損傷機構をスーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、・OHの消去剤である、SOD、カタラーゼ、メタノール等の試薬を用いて活性酸素消去能を調べた。その結果、鉄(II)クエン酸錯体によるDNA鎖切断過程において、フェントン反応が発生し、その反応から生成される・OHがDNA鎖切断を誘発するのではないかと考察した。そして切断の過程において、電子移動が必要であり、溶存酸素がこれに深く関与していることを明らかにした。しかしESR測定結果からは・OHを検出することが出来なかった。その理由として、ESRの検出感度はDNAのような高い検出感度をもっていないためと考えられる。さらに、茶カテキンの影響について調べた。その結果、茶カテキンは鉄(II)クエン酸錯体化学種の溶存形により損傷及び防御作用としての2面性をもっていることがわ解った。現在その機構を検討中である。
著者
宮木 美典 吉岡 濶江 長谷川 圀彦
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.T163-T167, 1990-12-05

放射平衡にある^<125>Sb(V)-^<125m>Te塩酸溶液系からの^<125m>Teの分離を検討した.分離法にはマイクロスケールによるイオン交換樹脂バッチ法を用いた.基礎実験の結果を基にトレーサー用^<125m>Teのマイクロスケール調製法を試みた.共栓付きマイクロチューブ(1.5ml用, ポリプロピレン製)に濃塩酸で処理したCl^-形の陰イオン交換樹脂100μl(約0.03g)を入れる.これに試料溶液[(^<125>Sb(V)-^<125m>Te)/9M塩酸溶液(5%vol.臭素水を含む)]100μlを加え10分間振り混ぜる.遠心分離後, ^<125m>Te(VI)を含む上澄み液を採取し, 再び5%vol.臭素水を含む9M塩酸溶液を加え上記の操作を繰り返し, ^<125m>Te(VI)を採取する.次に希塩酸又は脱イオン水1mlを加え, 溶離液の塩酸濃度を1Mとし, 再び10分間振り混ぜる.遠心分離後, ^<125m>Te(IV)を含む上澄み液を採取する.^<125m>Te(IV)の収率は, 最初の溶離液1mlで75%, 2回繰り返し溶離で97%, 3回の繰り返しで約100%であった.又^<125>Sh(V)の溶離率(汚染率)は0.5〜1%であった.本法の特徴を従来のマクロスケールのカラム法と比較した.その結果, 本法は溶離液が少量ですむために, 放射能濃度の高い溶液を得ることができるということが分かった.