著者
佐藤 享二 吉木 研一 岩本 市蔵
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.426-429, 1992

不顕性感染の猫より分離したトキソプラズマ神戸株 (Tp-K株) の培養細胞 (PK-15株) に対する感染性と増殖性を, Tp-RH株およびTp-Beverley株のそれと比較検討した.<BR>Tp-K株の培養細胞内における増殖性はTp-Beverley株よりもやや遅い傾向を示した.また, Tp-K株およびTp-Beverley株が100%の感染率に達するには接種後120時間 (5日間) を要した.いっぽう, Tp-RH株では48時間で全細胞内にTp原虫を認め, Tpは細胞核を取り囲んで花弁状の配列 (rosette) を示していた.Tp-K株はTp-Beverley株と同様に培養6日以降にシストを形成し, 宿主細胞に長時間保持された.Tp-K株はTp-Beverley株に類似した性状を示す株と考えられた.