著者
高木 秀雄 曽田 祐介 吉村 浄治
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.56, pp.213-220, 2000-03-15
被引用文献数
4

大野川層群霊山層中の花崗岩礫と, 朝地変成岩類分布域中の山中花崗閃緑岩のK-Ar年代を測定した.花崗岩礫4試料から得られたホルンブレンドと黒雲母のK-Ar年代は103〜108Maとよく一致した.一方, 山中花崗閃緑岩1試料について得られたK-Ar年代は, ホルンブレンドが103Ma, 黒雲母が104Ma, カリ長石が75.1Maとなった.霊山層中の花崗岩礫と山中花崗閃緑岩は年代的には一致するものの, 微量元素や帯磁率が異なる.しかしながら, 大野川層群の堆積物は北方から供給されたという報告があることから, 霊山層中の花崗岩礫の供給源が朝地地域周辺の花崗岩類から由来した可能性は高い.大野川層群が領家帯の和泉層群の西方延長に相当するのか, あるいは古領家帯の跡倉層-真穴層に対比されるかを明らかにするためには, 今後朝地変成岩類の帰属問題を解決する必要がある.