著者
吉村 秀治
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.64-67, 2013-01-01

日本製紙グループは生産量の減少に伴い慢性的に余剰電力を抱えていたが,震災以後の電力不足を背景に電力会社へ余剰電力を供給・販売するようになった。そこで余剰電力の有効活用を目的に昨年12月「エネルギー事業推進室」を立ち上げ,あらゆる角度から電力販売の可能性を検討している。今年5月には日本製紙が特定規模電気事業者(PPS)に登録し,日本卸電力取引所(JEPX)にも加入してエネルギー事業に参入した。<BR>今夏の電力不足では自家発余剰電力の活用策として出された「みなし節電」スキームを全国で始めて採用した。電力会社・監督官庁へ実現性を相談したが,前例が無いため節電目標が公表されるまで具体的交渉ができなかった。公表後は短期間に「みなし節電達成の判断」や「送電不足時の対応」などを電力会社と協議し,日本製紙八代工場から関西および四国電力管内のグループ15事業所へ3,000kWを送電した。<BR>日本製紙グループは発電所の操業ノウハウやインフラの強みを活かし,余剰電力の配分検討,新規電源の開発・発掘,新規木質エネルギーの開発などの課題をクリアしてエネルギー事業を収益の柱に育てていく。