著者
中西 喜彦 吉永 健一郎 小川 清彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.81-88, 1985-03-15

雄ミニ豚について, 体尺測定値, 精液採取の状況, 精液性状および精液性状の季節変動について追究した.その結果は次のとおりである.1.体重は12カ月齢で37.8kg, 36カ月齢で76.5kgであった.体高と体長は12カ月齢で47.9cmと93.7cmであり, 36カ月齢で59.2cmと112.0cmであった.2.精液は擬ひん台を用いて, 手圧法で容易に採取できた.精液採取は4〜5カ月齢から可能であるので, ミニ豚は一般豚より数カ月性成熟が早いと思われる.3.射精時間は5分52秒(n=86)であり, 一般豚より1〜2分短かった.濃度精液の分画数で分類した射精型は1回型;52.3%, 2回型;33.8%および3回型;1.9%であった.4.精液量は10〜20カ月齢で134ml(n=57), 液体部量;99.6ml(n=86)および膠様物量;20.6g(n=84)であった.1ml当りの精子濃度は1.5億であり, 液体部のpHは7.8であった.さらに, 28〜38カ月齢では精液量;152.0ml(n=63), 液体部量;120.0ml(n=61)および膠様物量;26.0g(n=59)と精液量は月齢とともに若干増加する傾向が認められたが, 精子濃度やpHは変らなかった.5.精子全長をミニ豚, ハンプシャー種およびバークシャー種で測定した.平均精子長はそれぞれ56.4μm, 55.0μmおよび55.8μmであった.精子長はミニ豚で他の2品種より若干長かった.6.ミニ豚の精液性状の季節変動について2年間にわたって調べた.精液量, 精子濃度およびpHでは季節変動ははっきりしなかった.しかし, 奇形精子率が冬季に増加した.これは制限給餌で飼育しているので, 雄豚が低栄養状態になったためと考えられる.