著者
嶋津 克明 吉永 裕介 中田 耕
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.5種類のスズ修飾貴金属電極上における硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元反応を検討し、活性および窒素選択生成到達度の貴金属依存性を決定した。窒素選択生成到達度は、N-O結合切断、N-NおよびN-H結合生成率をベースとしており、これより高活性かつ高N_2選択率の電極を設計する上で重要な指針が得られた。2.PtおよびPd電極上に、硝酸イオン、亜硝酸イオンおよび一酸化窒素から生成する吸着種の構造とその反応性を赤外分光法により検討した。Pt電極上に硝酸イオンが吸着すること、bridged NOに比べ linear NO の還元速度が速いこと、スズ修飾により吸着NOの還元速度が促進されことなど、硝酸イオンの還元反応機構に関連して新規で重要な情報を得た。3.多結晶金電極上にSn^<2+>イオンおよびPtおよびPd錯体を逐次的に吸着させて、Sn-貴金属二元電極を調製した。貴金属の担持量は錯体の単分子層吸着の状態で決まるため、担持量は0.3gcm^<-2>以下と極端に少ないにも関わらず、硝酸イオンの還元反応に対して高活性であった。したがって、貴金属担持量の低減化のための新規分散法として有用であることを立証できた。4.自己組織化単分子層上にSn/Pd/AuおよびSn/Ptのナノ粒子を積層した。硝酸イオンの還元反応に対して2-3層目までの反応場の拡張が可能であることがわかった。また、シクロデキストリンをテンプレートとして、反応場を微細設計する方法を開発した。原子テンプレートを使い構築したナノ制御界面では酸素分子の還元に向上がみられた。これらの結果は、電極触媒を原子・分子レベルで制御して構築できること、ならびにその重要性を示している。