著者
吉田 はるみ
雑誌
表現文化
巻号頁・発行日
no.9, pp.68-87, 2015-03

1. はじめに 女性の映画 : 何をもって一本の映画を女性映画と呼ぶのか? 女性の映画を論考するにあたりまず定義すべきこの概念は一筋縄ではいかない。監督を含む制作スタッフとして女性が関わっている、女性を描いている、あるいは女性の受容者を意識して作られている――これらのいずれの場合にも、その作品を女性映画と呼ぶことが可能であり、こうした意味での女性映画は時代や映画文化を超え、ジャンルを超えて存在する。少なくとも過去二十年間の日本における新作公開外国映画を俯瞰してみると、上に述べたいずれの意味でも女性映画の様態が変化してきたことがわかる。……