著者
吉田 安男 今野 晃市 徳山 喜政
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.113-123, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

3次元モデルの軽量化手法は,肥大化する3 次元形状の冗長性を削減し,様々なアプリケーションに適用可能な,基本的で重要な技術である.3次元モデルの特徴を保存しながら,データを軽量化するためのアルゴリズムとして,QEM手法があげられる.QEM手法は,頂点を縮退した後の詳細さと軽量化速度の間で,最も良いバランスを持つアルゴリズムのひとつである.しかし,QEM手法は,一度にひとつの稜線しか削除できない逐次的なアルゴリズムであるため,膨大な3次元モデルの軽量化には時間がかかる.PC クラスタは,メモリ分散型の計算環境として一般に用いられており,複数のPC を束ねることで,計算資源を拡大することができる.本論文では,QEM手法をPCクラスタ環境で動作させるための分散化手法について提案する.PCクラスタを利用することで,安価なシステムにより3次元モデルの特徴を維持しながら,高速に軽量化することが可能となる.