著者
吉井 ゆかり 徳山 喜政 今野晃市 曽根 順治
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.18(2006-CG-122), pp.7-12, 2006-02-20

CGアニメーションでは,人物や動物などのキャラクターの形状モデルが重要である. これらの形状を複数枚の Bezier,B-spline や NURBS などのパラメトリック曲面で表現する場合,曲面同士を滑らかに連続するのは困難であり,複雑な処理を必要とする.この問題を解決するために,近年細分割曲面(Subdivision Surfaces)がよく利用されている.しかし,効率的でデザイナーの意図するようなモデリングが依然として大きな課題である.一方,曲線メッシュを Gregory パッチで内挿することで滑らかな曲面を生成するモデリング手法はよく知られている.この方法は,曲線メッシュを変形しても曲面同士の G1 連続性が保たれるという大きなメリットがある.本研究では,ポリゴンメッシュと同一位相をもつ Catmull-Clark 細分割曲面の曲線メッシュを生成し,曲線メッシュを Gregory パッチで内挿するようなモデリング手法を提案する.本手法により生成した曲線メッシュの曲面形状と細分割曲面の形状が非常によく似ている.また,直観性と局所変形性においては曲線メッシュの曲面が細分割曲面より優れているため,自由曲面形状のモデリングにおいては,ポリゴンで大まかな形状を生成したあと,曲線メッシュを変形して最終形状を生成する手法が有用である.
著者
高橋 哲也 今野 晃市 曽根 順治 徳山 喜政 原美 オサマ
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.38-48, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
17

ハードウェアの低価格化,高性能化により,リアリティのあるVirtual Reality(VR)環境構築は容易に実現可能になってきている.VR技術は医学,工学,教育,ゲーム,グラフィック関連のアプリケーションなどでの利用が期待されている.従来,VR 環境構築に関する要素技術は数多く研究されている.要素技術の一つである衝突検出法は,計算コストが高くインタラクティブ性を損なう一因である.一つの考え方として,PCクラスタなどによる分散処理によって,高速化することで問題点を解決できる.本論文では,PCクラスタで動作する衝突検出法を用いたバーチャルタッチングシステムを提案する.本システムは,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突を高速に検出し,衝突部分の局所領域に関して力覚を提示するシステムである.本手法は,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突をPCクラスタを用いて高速に計算し,レスポンスを向上する.また,計算量が少なく処理が高速な力覚提示スレッドで擬似的に力覚を生成することによって,スムーズな力覚提示を行うことが可能である.
著者
村木 祐太 今野 晃市 徳山 喜政
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.49-57, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
12

N辺形形状の曲面当てはめは,古くから多くの人により研究されている.しかし,フィレット操作で生成されるような稜線の長さが極端に異なる形状への曲面当てはめにおいては,歪んだ形状が生成されたり,隣接面と不連続であったり,ユーザーによる手動入力が必要であったりと,どの手法も一長一短である.これら3つの問題を同時に解決するのは,いまだ困難である.本論文では,稜線の長さが極端に異なる形状に対して正N 辺形を生成するように分割曲線を生成することで,隣接面とG1連続かつ滑らかな曲面生成を可能にする手法を提案する.はじめに,分割する稜線のパラメータを決定し,領域を分割する稜線を生成する.その後で,分割した各領域に曲面を当てはめる.
著者
徳山 喜政 今野 晃市 曽根 順治 Janaka Rajapakse R.P.C.
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-9, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18

CGアニメーションでは,人物や動物などのキャラクターの形状モデルが重要である.これらの形状を複数枚のBazier, B-splineやNURBSなどのパラメトリック曲面で表現する場合,曲面同士を滑らかに接続するのは困難であり,複雑な処理を必要とする.この問題を解決するために,近年細分割局面(Subdivision Surfaces)がよく利用されている.しかし,デザイナーが直観的にモデリングすることができる効率的なモデリング手法の確立は依然として大きな課題である.一方,複雑な自由曲面形状を設計するための手法として,曲面の境界曲線を入力して曲面メッシュを生成し,境界で囲まれた領域をGregoryパッチで内挿する手法がある.このような手法は,曲線メッシュを直接修正することで,意図する形状を得ることができるため,細分割曲面を利用する方法と比較して,直観的な形状変形を行うことができるという利点がある.本研究では, Catmull-Clark細分割曲面とGregoryパッチ両方の特徴を生かすために,ポリゴンメッシュから同一位相をもつ曲線メッシュをCatmull-Clark細分割法則に基づいて生成し,生成された曲線メッシュを直接変形し,変形された曲線メッシュ形状をポリゴンメッシュへ反映させるような局所変形手法を提案する.本手法は,曲線メッシュ上の頂点や稜線に変形を施した場合,その頂点や稜線につながっている曲面形状しか変形されないのが特徴である.また,曲線メッシュ上の任意の範囲を指定し,指定した範囲外の曲面との連続性を保ちつつ,範囲内の曲面を自由に変形することも可能である.曲線メッシュ上の変形をポリゴンメッシュへ反映させることで,ポリゴンメッシュで行いにくい局所変形や直観的な変形が実現できる.
著者
吉田 安男 今野 晃市 徳山 喜政
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.113-123, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

3次元モデルの軽量化手法は,肥大化する3 次元形状の冗長性を削減し,様々なアプリケーションに適用可能な,基本的で重要な技術である.3次元モデルの特徴を保存しながら,データを軽量化するためのアルゴリズムとして,QEM手法があげられる.QEM手法は,頂点を縮退した後の詳細さと軽量化速度の間で,最も良いバランスを持つアルゴリズムのひとつである.しかし,QEM手法は,一度にひとつの稜線しか削除できない逐次的なアルゴリズムであるため,膨大な3次元モデルの軽量化には時間がかかる.PC クラスタは,メモリ分散型の計算環境として一般に用いられており,複数のPC を束ねることで,計算資源を拡大することができる.本論文では,QEM手法をPCクラスタ環境で動作させるための分散化手法について提案する.PCクラスタを利用することで,安価なシステムにより3次元モデルの特徴を維持しながら,高速に軽量化することが可能となる.
著者
金野 哲士 今野 晃市 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.197-206, 2007 (Released:2008-06-18)
参考文献数
23
被引用文献数
1

レンジセンサを使用することで,建造物の幾何情報が点群として得られる.建造物全体の幾何情報を得るためには, 複数の点群を統合する位置合わせ処理が必要である.著者らは,これまで特徴線の一致を利用した位置合わせ手法を提案してきた.しかし,従来手法では,位置合わせ処理に有効な特徴線を安定的に抽出するために,厳しい測定条件が必要であった.また,有効な特徴線数が少ないため,制限された位置から建造物を測定し,得られた全ての点群を位置合 わせ処理する必要があった.本論文では,従来必要であった測定条件を緩和するために,建造物の稜線を表す特徴線の抽出法を提案する.本手法は,従来手法で抽出した特徴線を用いて,測定点群を階層的に領域分割する.そして,隣接する二つの領域の境界線として線分を生成することで,稜線を表す特徴線を抽出する.実験では,測定して得られた点群から稜線を抽出し位置合わせ処理を行い,従来手法との比較を行った.その結果,本手法の有効性が確認された.
著者
庄司 こずえ 村山 紀章 今野 晃市
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-10, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
11

本論文では,屋外の3DCGを生成するために,シャドウボリュームを利用してソフトシャドウを高速に生成する手法について提案する. 本手法では,「影の明度」と「ソフトシャドウの範囲」の二つのパラメータを持たせて,時間帯の違いによるいろいろなソフトシャドウの描画を可能にしている. また,本手法は携帯端末上への実装を目標としており,ソフトシャドウを表す影テクスチャを生成し,ハードウェアに依存しない処理でソフトシャドウを生成することができる.
著者
金野 哲士 今野 晃市 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.80-91, 2006-09-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
5 3

仮想空間上に実空間の建造物をモデリングする手段として, 建造物の形状を表す複数の測定点群を, 自動的に配置する位置合わせ手法がある. 点群位置合わせ手法は, 点ベースの手法と特徴量ベースの手法に分類される. 点ベースの手法は, 位置合わせの精度が高いという利点があるが, 計算量が膨大である. 一方, 特徴量ベースの手法は, 点ベースの手法よりも計算量が圧倒的に少ないが, 位置が合う特徴量を抽出するのが困難である. 本論文では, 位置合わせに有効な特徴量を安定的に抽出し, 複数の方向から測定した点群を同一の3次元空間へ配置するための手法を提案する. 本研究では, 建造物の直線的な特徴に着目し, 測定点群から直線的な特徴線を抽出する. 複数の測定点群に対して, 効率的なマッチング手法を用いて, 特徴線同士が一致するような幾何変換を求めることで, 点群位置合わせを行う. 大型レンジセンサを用いて測定された実際の建造物の点群に対して, 本手法を適用し有効性を確認した.
著者
藤本 忠博 今野 晃市 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.8-21, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
28
被引用文献数
3 3

本稿では,最近活発になってきた研究分野である“ポイントグラフィックス”に関連して,点集合を扱うこれまでのCG技術と,主にポイントグラフィックスとして最近開発されたレンダリング技術について解説し,ポイントグラフィックスはこれまでのCG技術の自然な発展としてある魅力的な技術分野であることを示す.
著者
山原 一輝 今野 晃市 千葉 史 佐藤 真麻
出版者
編集:日本情報考古学会 発売:勉誠出版
雑誌
情報考古学 (ISSN:13424084)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1-2, pp.23-31, 2012-01-01

石器の接合資料は、旧石器時代と縄文時代の人々の生活を調査するための重要な資料である。石器は、石核と呼ばれる原石から剥片と呼ばれるパーツを剥離させ、その後道具として使用するために、剥片を整形したツールである。石器を作成する過程で排出される剥片を接合し、石器の加工工程を再現することで、石器製作者の製作意図や行動、技術力、生活範囲などさまざまな情報を得ることができる。石器の加工工程を再現するためには、同一の石核から製作された石器同士を接合し、隣接する石器の位置や姿勢を復元する必要がある。しかし、石器の接合資料の作成は手作業で行われているため、作業には多くの時間と労力がかかる。また、作業には石器が破損するリスクを伴うため、作業者の負担も大きい。そこで本論文では、計測点群から生成したポリゴンモデルを利用して、接合資料作成のための石器剥離面に基づく隣接関係検出法について提案する。本手法は、剥離面は滑らかな形状であり、剥離面同士の境界は、稜線を構成していることに着目して、曲率に基づいて稜線を抽出する。次に、抽出された稜線で閉領域を構成し、剥離面を抽出する。最後に、同一の母岩に属している各石器の剥離面同土でペアを作成し、ペアに含まれるポリゴンが幾何学的に一致するかどうかを評価する。その結果、石器間の隣接関係を検出することが可能となる。
著者
今野晃市 高村 禎二 千代倉 弘明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1133-1142, 1992-09-15
被引用文献数
1

複雑な自由曲面形状を定義するための一般的な手法として曲面の境界曲線を定義し その境界曲線を自由曲面で内挿する手法がある入力された境界曲線は 設計したい物体の大まかな形状を表しているよって この曲線に囲まれた領域を自由曲面で内挿する場合には 設計者の意図どおりの自由曲面が生成されることが重要であるしかし 曲線メッシュの形状によっては うねった曲面が生成されることがあるまた 設計する形状によっては 生成される自由曲面はG^2連続になることが要求されるそこで本論文では このような問題を解決した自由曲面の内挿法を提案する本手法では 境界曲線がG^2連続である場合に G^2連続なパッチで曲線メッシュを内挿するまた このように内挿されたパッチに対して G^2連続性を保ったままでパッチの形状を変更する方法について述べる
著者
高橋 俊一 今野 晃市 金野 哲士 千葉 史
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.34, pp.25-28, 2008-07-31

遺物の復元は,出土した土器片の分類から組み立てまでをほとんど手作業で行っている.このため,土器片の数が多いほど復元に時間を要する.また,専門的な知識も必要となる.本稿では,破片形状の3次元座標点群を利用した土器片のマッチング手法について検討する.本手法は,まず,3次元計測器で十器片を計測することで3次元座標点群を獲得し,獲得した3次元座標点群から土器片の輪郭線を抽出する.その後,分割した輪郭線ごとに幾何情報と文様の位置を比較評価することで,土器片のマッチングを行う.