著者
吉田 宗儀 穂積 俊樹 土井 邦紘
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.647-652, 2002-09-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
22

糖尿病発症に妊娠時の低タンパク質摂取が妊娠と新生仔に及ぼす影響が報告されている. オヤと新生仔の3世代の膵内分泌機能をラットを用いて観察し, その知見を報告する. Wistar系ラットを正常群C-1 (n=13, 餌タンパク25.1%) と低タンパク群P-1 (n=15, 餌タンパク14.5%) にわけ, 妊娠後に新生仔C-1-1, P-1-1 (2世代) を得た, 血糖, IRI, 膵組織中IRI, IRGを測定した. 新生仔の一部を同じ餌条件で飼育し, 再度オヤ (C-2, P-2) とその新生仔C-2-1, P-2-1 (3世代) を得, 同様の実験を行った. 低タンパク餌投与群ではオヤ, 新生仔とも体重と膵組織のIRI含有量が正常群より低い傾向が認められ, 膵タンパク量についても同様の低下が認められた. 膵組織タンパク量はオヤでは有意に低タンパク餌群が低値であった. また, 低タンパク餌群の新生仔の膵組織中のIRI含有量については対照との有意の差は認められなかったが, 3世代は2世代に対して有意に低値であった, このことは, 低タンパク質摂取は世代を経るほど妊娠時の膵内分泌に与える影響が大きいことが示唆された.