著者
井上 清子 吉田 敦子
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.19-26, 2008-12-01

本研究では,ソーシャル・スキルという観点からの児童理解や指導のための一助とするために,児童のソーシャル・スキルの性差を中心とした発達について明らかにすることを目的とした.公立小学校2 校の小学2 年生から6 年生を対象として質問紙調査を行い,706 名(男子350 名,女子356 名)を分析対象とした.その結果,配慮のスキル・関わりのスキルとも,有意に女子の方が高かった.配慮のスキルについては,小学2 年生の時点ですでに女子の方が高く,その後も女子の方が高いスキルを持ち続けていることが示唆された.関わりのスキルについては,配慮のスキルほど,はっきりした性差はみられなかった.男子では,配慮のスキル・関わりのスキルとも,学年群があがることによる有意な変化は見られなかった.女子では,学年群があがるに従って,配慮のスキル・関わりのスキルとも下がる傾向があり,特に高学年では,低・中学年に比べて有意に低かった.