著者
井上 清子 吉田 敦子
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.19-26, 2008-12-01

本研究では,ソーシャル・スキルという観点からの児童理解や指導のための一助とするために,児童のソーシャル・スキルの性差を中心とした発達について明らかにすることを目的とした.公立小学校2 校の小学2 年生から6 年生を対象として質問紙調査を行い,706 名(男子350 名,女子356 名)を分析対象とした.その結果,配慮のスキル・関わりのスキルとも,有意に女子の方が高かった.配慮のスキルについては,小学2 年生の時点ですでに女子の方が高く,その後も女子の方が高いスキルを持ち続けていることが示唆された.関わりのスキルについては,配慮のスキルほど,はっきりした性差はみられなかった.男子では,配慮のスキル・関わりのスキルとも,学年群があがることによる有意な変化は見られなかった.女子では,学年群があがるに従って,配慮のスキル・関わりのスキルとも下がる傾向があり,特に高学年では,低・中学年に比べて有意に低かった.
著者
加藤 一郎
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-16, 2002-12-01

La Internacia Milita Tribunalo en Nurnbergo leĝe bazis sin sur "Ĉarto de la Internacia Milita Tribunalo" kompostita de la venkintaj landoj. Oni kritikis Nurnbergan Tribunalon el diversaj vidpunktoj. En tiu ĉi studo mi volas ekzameni artikolojn de "Ĉarto" kaj rekonsideri diversajn leĝajn problemojn de la Internacia Milita Tribunalo en Nurnbergo.
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of the Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.57-78, 2013-12-01

663年の白村江の敗戦以後の日本の社会を、唐の占領政策のもとにいかに展開したかを描いた。従来の説では、唐による占領政策はなかったものとして、両国は戦争をしたにもかかわらず、友好関係を維持し、日本は唐にならって律令制を導入したと論じられてきた。これは戦争という現実から目をそむけた論に過ぎない。本論では、郭務悰という唐からの占領軍事司令官のもとで、いかに占領政策が行なわれたかを『日本書紀』を新たに解釈しなおすことで明らかにした。また、新羅の反唐政策によって、唐は半島・日本から撤退せざるをえなくなり、日本も唐の占領政策から脱することができたことを論じた。
著者
藤原 正光 番場 梨彩
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of the Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.113-125, 2014-12-01

幼児期に嫌いであった食物の種類とその理由及びその克服時期と方法を,大学生の幼児期の回想法による調査を行った.同時に,家庭と保育所・幼稚園での食事指導の違いを調査した.結果の分析に際し,性差を考慮した.調査対象者は大学生166名(男性58名,女性108名)であった。主な結果は次の通りである.1)幼児期に嫌いな食べ物は,レバー,セロリ,ピーマン,なす,にんじん等であり,その理由は,味,食感,におい等であった.2)克服時期は、中学時代が最も多くその後減少していたが,女性は男性に比べ大学生になってから克服率が有意に増加していた.3)克服方法は,「食べてみたら美味しかった」「調理法の工夫」「食べる機会の増加」「家族の影響」などが上位を占めていた.幼児期に受けた食育を家庭と保育所・幼稚園を比較しながら検討した.因子分析の結果,いずれの質問項目にも「注意及び指導」と「食べさせる工夫」の因子が抽出された.4)家庭での食育指導の方が有意に高い平均値であり,男児に「注意及び指導」が有意に高く,「食べさせる工夫」については,家庭と保健所・幼稚園の間にも性差にも有意差は示されなかった.
著者
加藤 一郎
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of the Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.87-102, 1998-12-01

La Internacia Milita Tribunalo en Nurnbergo kondaminis Naciistan Germanion pro la krimo kontraŭ humaneco kaj konkludis, ke Naciista Germanio devige enmetis judojn en koncentrejoj kaj mortigis multajn judojn per diverasaj metodoj, speciale, gasaj ĉambroj". Tiu mortigo de judoj estas nomata "Holokaŭsto" post la Mondmilito kaj simbolas la malbonaaĵojn de Naciista Germanio. Sed, historikaj revizionistoj, precipe "Holokaŭstaj revizionistoj" prezentis diversajn demandojn pri "Holokaŭsto" el la historika, kemia kaj jura medicina vidpunkto. Nun estas necese rekonsideri diversajn problemojn de "Holokaŭsto" kaj komenci la Holokaŭstan disputon.Enhavo :<Antaŭparolo : La neceso de la Holokaŭsta disputo><La liberigo de Daĥaua koncentrejo><Daĥauaj tribunaloj><La problemoj de "gasaj ĉambroj" en Daĥauo>"
著者
三木一彦
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-29, 2007-12-01

近年,ヨーロッパ諸国では,EU 統合が進展する中で,地域言語の存在に脚光が当てられつつある.本稿では,フランス国内におけるアルザス・アキテーヌ・ブルターニュの3 地方を事例とし,それぞれの地域言語の沿革や現状について検討を行なった.アルザス地方では,歴史的な経緯もあってアルザス語が多く使用され,近年では国境を越えた交流の進展とともに,アルザス語は一定の復権をみせている.一方,アキテーヌ地方ではオクシタン語とバスク語の使用がみられ,使用人口はオクシタン語の方が多いものの,存続傾向にあるのはむしろバスク語の方である.また,ブルターニュ地方ではブルトン語が存在し,その使用範囲は徐々に狭まってきていたが,最近ではブルトン語と地域主義運動との連関がみられる.全体として,長らく衰退傾向にあったフランスの地域言語は,現在,それぞれの地方における地域文化の核として徐々に見直されつつあるといえよう.
著者
加藤 理
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.52, pp.13-20, 2018-12-20

『赤い鳥』が創刊された大正時代は,『赤い鳥』の他に『おとぎの世界』『金の船』『童話』などの児童文芸雑誌が次々に出版され,教育の世界でも,子どもの内発的な動機や児童中心主義を重視した大正自由教育運動が興り,新教育の理想を掲げた学校が開校していった.こうした生活を享受できた人々は,人口比で見ると全人口の6 ~ 8 パーセントの人々にすぎず,大部分の人々は,華やかで自由な大正デモクラシーとは無縁の生活の中で生きていたのである.成田尋常高等小学校では,「他家に雇はれ居るもの若しくは手不足の家庭にあるもの」のために,「特別扱となし時間を択ばず毎日必ず出席して学科を修むるの便宜」を図った記録を残している.本稿では,この時代の農村や漁村の多くの子どもたちの現実とその中での教育支援について,千葉県印旛郡成田尋常高等小学校の「特別出席簿」を中心に考察する.
著者
加藤 一郎
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.71-86, 2000-12-01

Unu el la ortodoksaj historiistoj pri la Holokaŭsto, D. Lipstadt en sia verko "Denying Holocaust" severe kritikis la anglan historiiston, D. Irving, kiel "la defendanton de Adolf Hitler" kaj "la neanton de la Holokaŭsto". Kontraŭ tio, D. Irving akuzis ŝin kaj la eldonejon "Penguin books LTD" pro la malhonorado. Tamen, tiu proceso ne restis la personara malhonorada proceso, sed iĝis la tribunalo de la Holokaŭsto, ĉar la diputitaj temoj en la proceso havis rilatojn kun ĉefe la Holokaŭsto, precipe, la koncentrejo de Auschwitz kaj "gasaj ĉambroj". Unu el la gravaj disputitaj temoj estis "la arkitekture criminalaj postsignoj", kiuj pruvas, ke la koncentrejo de Auschwitz estis la eksterma centro uzinta "hommortigajn gasajn ĉambrojn". Bazante sin sur diversaj studoj de "la Holokaŭstaj Revizionistoj", D. Irving konkrete kritikis "la criminalaj postsignoj" prezentitajn de R. J.van Pelt.
著者
八藤後 忠夫 水谷 徹
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.79-86, 2005-12-01

近年急速に進歩しつつある先端科学・技術は,私たちの生活を一層利便性の高い豊かなものとしている.しかし一方では,特に医学・医療において診断・治療・予防のいずれの段階においても「社会における人間像」や「死生観」に抵触すると思われる側面も増大している.本稿は,これらの問題に関して,古代社会以来連綿と続いている優生思想の歴史的変容を概観し,検討した.その結果,出生前診断や着床前診断と選択的妊娠中絶においては,「障害者の生存権の否定」傾向に強く影響を及ぼしていることが確認された.このことは教育のあり方全般にも大きく影響を及ぼしていると推測され,その実践の一つとして今後の学校教育・社会教育全体に大きな課題を与えていると判断する.特に,障害児教育においてはその教育内容に更なる「内容の質の高さ」が求められていると考えられる.
著者
渡辺 律子
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.49, pp.169-176, 2015-12-20

平成20年の学習指導要領の改定に伴い,体育科の「表現ダンス」領域は小学校1学年から中学校2学年まで男女とも必修となった.また,指導内容が「表現系ダンス」「リズム系ダンス」「フォークダンス」の3つのダンスであることが明確化された.このうち「フォークダンス」教材について,筆者は授業時間数が他のダンスに比べて少ないように感じた.そこで本研究では学校における「フォークダンス」教材の意義について検討を行った.その結果「フォークダンス」は,学習指導要領「総則」をはじめ,「道徳」,「総合の時間」,「特別活動」の目的の一端をも担い得ることが分かった.これは他のダンスでは当てはまらない.このように「フォークダンス」は,学校教育全般にわたって汎用のある教材ともいえる.今後の課題として,教育的効果を高めるために主要なフォークダンスの「由来」「踊り方」「指導方法」「指導目的」「難易度」をわかり易くまとめ,学校現場において,ニーズに合ったフォークダンスを適宜選んで,指導できるような資料・データベースの必要性が示唆された.
著者
加藤 理
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education
巻号頁・発行日
no.53, pp.219-227, 2019-12-20

『赤い鳥』が創刊された大正時代は,『赤い鳥』の他に『おとぎの世界』『金の船』『童話』などの児童文芸雑誌が次々に創刊されるが,それらを手にした子どもたちはごく一部にとどまっていた.多くの子どもたちは,貧困な生活の中で,貧困な文化環境を強いられ,童謡や童話と無縁の生活を送っていた.そうした時代の中で,投稿欄に多数の作品が掲載されて注目されたのが茨城県である.特に,県西部の小学校の児童の作品は,多くの雑誌を席巻した.そこで,なぜ茨城県の子どもたちが童謡などの芸術的児童文化に接することができたのか,文化環境を分析し,茨城県西部で童謡が隆盛した背景を中心に考察する.
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of the Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.57-78, 2013-12-01

663年の白村江の敗戦以後の日本の社会を、唐の占領政策のもとにいかに展開したかを描いた。従来の説では、唐による占領政策はなかったものとして、両国は戦争をしたにもかかわらず、友好関係を維持し、日本は唐にならって律令制を導入したと論じられてきた。これは戦争という現実から目をそむけた論に過ぎない。本論では、郭務悰という唐からの占領軍事司令官のもとで、いかに占領政策が行なわれたかを『日本書紀』を新たに解釈しなおすことで明らかにした。また、新羅の反唐政策によって、唐は半島・日本から撤退せざるをえなくなり、日本も唐の占領政策から脱することができたことを論じた。
著者
加藤 一郎
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.95-107, 2004-12-01

En majo de 2002, F. Meyer, la eks-redaktoro de la germana revuo "Der\nSpiegel", publikis la artikolon "Die Zahl der Opfer von Auschwitz". En tiu c i artikolo li kritikis la vidpunktojn de la tradicia holocaŭsta historiografio pri la nombro de la viktimoj de la koncentrejo Auschwitz /Birkenau. Recenzinte la tiun ci artikolon, F. Piper, la direktoro de la historia departmento de la Auschwitz muzeo, kondamis lin kiel la revizioniston. Post ne longe, F. Meyer kontraukritikis la recenzion de F.Piper. En tiu ci diskuto, F. Meyer adoptis la revisionistajn metodojn kaj analizojn, dum F. Piper defendis la tradician holocaŭsta historiografion. Tiu ci diskuto klarigis la disfalon de la tradicia holocaŭsta historiografio.
著者
桑原 千明 中本 敬子
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.52, no.別集, pp.69-80, 2019-03-01

本稿では,幼児期から児童期にかけての他者との協同による学習について,対人関係及び社会性の発達を概観した上で自己調整学習の観点から検討を行った.対人関係は,自己完結的で単発的な関わりから,他者と目標やテーマを共有し協同し合う関わりへと変化していく.社会性についても,他者視点の取得や共感性の発達に伴い,向社会的行動や道徳性を発達させていく.自己調整学習については自己の学習をモニタリング・コントロールし調整する自己調整の他,他者と一時的に調整を協調する共調整や共通目標のもと相互に学習を調整し共有し合う社会的に共有された学習がある.幼稚園や小学校での学習を考える時には,一般的な発達段階を踏まえた上で,共調整から自己調整への内化を踏まえてメタ認知や調整能力の発達を促すことや自他の視点の違いを踏まえて学習を調整しあうプロセスに注目することが重要であると考えられる.
著者
川崎 衿子
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.27-36, 2004-12-01

Isaku Nishimura(1884~1963)is well-known as founder of a high school and college named "Bunka Gakuin" in Tokyo and as an architect dvocating new idealism on houses in the early 1900's. He was born in Shingu,Wakayama and raised by an eager Christian family.\nHe introduced western houses in order to innovate the old Japanese style in housing.He insisted that the living room be the most important room in a house. In addition he tried to adapt the Western way of sitting on chairs, sleeping on beds and eating in the manner of westerners. He especially evaluated American bungalows that had a living room planned in the center of the house. He established Nishimura Architects Office in Kobe and Tokyo in 1921.\nAt the same time Akio Senoo(1891~1962)who was a translator of English novels and also known as a mystery story writer admired western houses and western life-style.Senoo received recognition for his psychological description of the protagonist. In his works we can find fantastic and illusional atmosphere which depended on using lots of words to describe the architecture, a part of a building or elements of interior design with technical knowledge. Senoo ordered Nishimura to design and construct his house in 1931. The Senoo Residence completed the next year in Kawasaki-shi was a typical bungalow. That was a great example showing Nishimura's accomplishment as seen in the history, of Japanese houses.\nThis study illustrates how the common attitude and spirit of embracing Western lifestyle by Nishimura and Senoo was approved through their works.
著者
葉養 正明
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.73-77, 2019-12-20

本稿は,東北地方沿岸部の少子化・人口減の中長期的なトレンドのもとで発生した東日本大震災後の,①小中学校の再建再編の進行,子どもの教育圏に生じた変化の記述を進めるとともに,②「学校統廃合の社会的費用1)」に関連する先行研究2)や学校統廃合の財政効果に関するいくつかの自治体3)の試算などのレビューを進め,②「学校統廃合の社会的費用」に迫る枠組みについて検討を進めようとする研究に向けた序論である.本稿が対象にする東日本沿岸部の場合,中長期的に少子化・人口減が進行すると同時に被災からの教育復興という二重苦に直面している.そこで,本稿は,「学校統廃合の社会的費用」という切り口を設定し,就学人口の中長期的縮小と被災に伴う就学人口の変動,教育復旧・復興の必要性という諸要因の絡んだ学校規模や配置のあり方問題の検討を進めることにする.