著者
土居 寿之 近藤 しおり 八島 千恵 鈴木 将史 吉田 沙希子 山本 晋 福岡 富和 岡田 貴典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.283-289, 2022-02-10 (Released:2023-02-10)
参考文献数
6

50歳代の女性,抗GAD(glutamic acid decarboxylase)抗体陽性インスリン依存状態の1型糖尿病に対し,持続皮下インスリン注入療法を行っていた.糖尿病発症前からの肥満が問題であり,1年前よりSGLT2(sodium/glucose cotransporter 2)阻害薬の内服を開始した.数日前より感冒症状があり,食事は摂取できなかったが,少しずつ経口摂取していたためSGLT2阻害薬内服は継続していた.嘔気と倦怠感が増悪し受診,血糖269 mg/dlであったが,ケトアシドーシスを認め入院,ブドウ糖とインスリンを同時に持続静注開始.速やかに症状が改善し翌日退院した.SGLT2阻害薬内服中,インスリン依存状態では,経口摂取量減少時に正常血糖ケトアシドーシス(euglycemic diabetic ketoacidosis:euDKA)を起こす可能性があることを念頭に置く必要がある.