著者
向井 真也 岩山 順 森永 真二 武部 聡
出版者
近畿大学生物理工学部
雑誌
Memoirs of the School of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University = 近畿大学生物理工学部紀要 (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
no.19, pp.51-56, 2007-03-01

Bacillus thuringiensis (Bt)が産生する結晶性殺虫タンパク質(クリスタル)の精製法を、双翅目特異的殺虫クリスタル生産菌Bt. subsp. israelensis HD522株およびその変異株を用いて検討した。クリスタル、胞子および細胞破砕物を含む粗抽出液を30-40%NaBr連続密度勾配遠心法を用いて分離したところ、クリスタルは33%NaBr付近に層を形成した。この濃度における密度の理論値は1.318g/cm^3で、Ang & Nickersonの報告にあるBtクリスタルの密度1.32g/cm^3と合致している。SEMを用いた観察では、クリスタル層に胞子の混入はほとんど認められず、SDS-PAGEによる構成タンパク質の確認では、殺虫タンパク質(Cry)の分子量である130kDaタンパク質がメインバンドとして検出された。また、ネッタイシマカ幼生を用いた生物検定では、精製による殺虫活性の低下は認められなかった。