著者
丸田 俊久 向山 朝之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.1312-1316, 1969-11-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
17

油脂中の微量の鉄と銅を迅速で精度よく定量する方法について研究した.油脂に濃硫酸を添加し,60%の過酸化水素水を徐々に加えて油脂を分解する方法を確立した.この方法の特長は操作が簡易で分解時間が短く,過酸化水素の分解生成物は水と酸素のみで,から試験値が小さいことである.試料を分解して得た硫酸酸性溶液中の鉄と銅の吸光光度法による定量には,酸性溶液で鋭敏に作用する試薬を用いた.鉄はチオシアン酸第二鉄としてメチルイソブチルケトンで抽出し,銅はジベンジルジチオカルパミン酸銅として四塩化炭素で抽出し,それぞれ495,438mμの吸光度を測定して定量した.本法によれば,分析所要時間は約60分で,鉄は0.1ppm,銅は0.02ppm程度まで定量できた.