著者
品田 誠司
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.57-72, 2021-03-15 (Released:2022-12-01)

近年、優れたアイデアを実行に移すために、クラウドファンディングが資金を集める手法として重要視されている。スタートアップを中心に我が国においても重要なファイナンス戦略として認められつつある。しかし、従来からこのシステムについてはその根幹に「共感」を置き、どのように支援を集めるか、といった分析が主であり、クラウドファンディングと実施後の製品開発との関連性が明らかではなかった。本稿では、特に複数回の購買型クラウドファンディングを成功させた企業事例を取り上げて検討を行った。その結果、1)共感を中心としつつもテストマーケティングに移行していること 2)支援者間のソーシャルキャピタルが複数回の実施には重要であること3)資金が集まった後のプロジェクトのその後と製品開発には、支援者間のソーシャルキャピタルが大きく影響をしている可能性があること、が明らかとなった。
著者
品田 誠司
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.43-57, 2013-09-15 (Released:2019-04-26)

災害後に経済成長が発生する理由については様々な仮説が唱えられているが、本稿では被災した大都市で起業家が増加する現象とその理由を考察する。この問題について東日本大震災で被災した仙台市を手がかりに、3つの側面からそのメカニズムを検討する。第1に、震災に伴う経済的諸要因により震災後の仙台市で起業家が増加している側面を検討する。第2に、災害に伴って向社会的行動による起業動機の増加が発生していることを明らかにする。第3に、災害に伴う起業志望者の社会的ネットワークの拡大、それに伴う社会的ネットワークの高付加価値化という側面を検討する。以上のように本稿では、経済的側面、心理的側面、社会的ネットワーク側面が複合的に作用し、災害後の大都市で起業活動が増加したと主張する。