著者
品田 雄志
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.15-28, 2023 (Released:2023-09-30)
参考文献数
24

本稿では、信用金庫における収益と資産構成の変化が経営健全性に与える影響について考察するため、2001年度から2020年度までの20年間のデータを使用して検証した。当該期間は、収益の多様化ならびに資産構成の多様化がほぼ一貫して進行していた時期に当たる。分析に当たっては、一般化モーメント法(GMM)を用いた。 分析の結果、収益多様化の進展や資産構成の分散化が経営健全性に資するという結果は得られなかった。このことからは、信用金庫経営において、範囲の経済性やポートフォリオ理論が必ずしも機能していないことを示唆している。また、預貸率の上昇が経営健全性に資するという結果となったことから、まずは預貸率の上昇に注力するべきとの示唆を得た。