著者
喜多 稔 外山 修之
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.485-489, 1960
被引用文献数
5

本邦産水産無脊椎動物のうち, 原索動物, 棘皮動物, 節犀動物, 軟体動物, 環形動物 25 種類から脂質 (2種類は油脂) を抽出しその不ケン化物およびステリンを定量し, また赤外線吸収を測定して 24-メチレンコレステリンの存否を判定し, 紫外部吸収を測定して, Δ<SUP>5</SUP><SUP>7</SUP>-ステリン (プロビタミジD) 含量を算出した。カリガネガイおよびホタテガイは末端メチレン基の存在を明瞭に示し, ピザラガイ綱に属する貝については末端メテレン基の吸収は認められない。従来ピザラガイ類には Δ<SUP>5, 7</SUP>-ステリンがほとんど含まれていないとされていたが, 今回の測定では相当量の, Δ<SUP>5, 7</SUP>-ステリンの存在が認められた。またカラスボヤ, ムラサキウニ, スガイ, クボガイは 255mμ に極大吸収を持っていることが知られた。ゴカクキンコからはバチルアルコールが単離され, ホタテガイからは粗 24-メチレンコレステリン区分とクリオナステリン区分が分離された。ゴカイの主要ステリンはコレステリンであることが確かめられた。