著者
岡田 遥平 飯塚 亮二 喜田 たろう 杉本 憲治 高原 美貴
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.26-31, 2018-12

2017 年9 月から開始された日本赤十字社のバングラデシュ南部避難民救援事業のEmergencyResponse Unit(ERU)のメンバーとして医療支援に従事する貴重な機会を得た.その活動の概要について報告し,医師として有意義であった経験や課題について考察する.筆者はERU 第2 班,第3 班で避難民キャンプ内の巡回診療に従事した.患者は不衛生な環境を反映し感染性の呼吸器疾患,消化器疾患,皮膚疾患が多数みられた.助産師の行う妊婦健診のサポートや栄養失調の幼児のスクリーニングなどを併せて行なった.国際赤十字・赤新月社の世界的な支援活動の一端を担うことができ貴重な経験となったが,その一方で医療の限界と先進国とのギャップに悩まされることもあった.こうした国際救援の経験は医師として視野を広げる成長の機会となりうると思われる.今後ともさらなる準備をし,支援に参加できるように修練につとめたい.