著者
四野見 悠喜男
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.73-79, 2010-01

住民主体の農村開発と農民グループの育成。ボリビア国は南米大陸の中央部に位置する内陸国で、国土面積は日本の約3倍(110万km2)、人口は983万人である。一人当たりGNIは1,260米ドル、人間開発指数は0.695で南米では最も貧しい国である。ボリビアの農業農村分野におけるこれまでのわが国の援助はJICA個別専門家の派遣、開発調査、無償資金協力、技術協力(プロ技)、本邦研修等を通じて行われ、ボリビアの農業分野の発展とそれを担う人材の育成に大きな貢献をしてきている。援助の重点は主として低地湿潤地帯に注がれてきていたが、それはこの地域が国内の農業先進地域であることに加え、サンファンおよびオキナワという日本人移住地があることが大きな要因となっている。技術協力分野ではボリビアにおける農業技術開発・普及の拠点となっているボリビア農業総合試験場への専門家派遣から始まり、熱帯農業研究センターへの専門家派遣、プロ技「小規模農家向け稲種子普及改善計画」が実施され、国立家畜改良センターへの専門家派遣、プロ技「家畜繁殖改善計画」および「肉用牛改善計画」などが実施されてきている。これらの技術協力はいわゆるセンター方式技術協力と呼ばれていたもので、ボリビア側の技術者に対して日本の優れた技術を移転し、それを通じてボリビアの将来の農業発展に貢献しようとするものであり、これらの技術協力を通じたボリビア側の技術力向上への我が国の貢献は高く評価されているということができる。