著者
青柳 高明 国元 節子 竹内 富雄 梅沢 浜夫
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.109-114, 1973-04-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
20

消化性潰瘍の成因と進行には種々の因子が関与しているが, 潰瘍の発生および増大に胃液内酸性プロテアーゼが大きな役割を果していることは明らかである。胃液内酸性プロテアーゼを抑制することは, 消化性潰瘍の治療および発生機序を解明することができるとの考察のもとに, 著者らは酸性プロテアーゼ阻害物質の探索研究をおこない, 放線菌培養濾液からペプスタチンを発見した1, 2)。ペプスタチンは, ペプシン, レニンおよびカテプシンDを含む酸性プロテアーゼに対して特異的な強い阻害活性をもつが, セリン酵素, チオール酵素などの中性およびアルカリ性プロテアーゼに対しては, 阻害活性を示さない3~6)。ペプスタチンは, 臨床分野において, 消化性潰瘍に有効であると報告されている7~13)。本稿では, ペプスタチンの酸性プロテアーゼに対する抑制作用および臨床的に応用しうる胃液内の酸性プロテアーゼ活性の定量的測定法について報告する。