著者
國重 智宏
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.30-40, 2019

<p>本研究は,長期入院精神障害者の退院支援場面における相談支援事業所の精神保健福祉士(PSW)の「かかわり」のプロセスについて明らかにすることを目的とする.A圏域の7名のPSWに対するインタビュー調査を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析を行った.分析の結果,三つのカテゴリーからなる「かかわり」のプロセスを明らかにした.まずPSWは,退院支援という自らの業務をいったん横におき,長期入院精神障害者との〈お互いを知るための「つきあい」〉を通して,彼らに「人」として信用してもらう.次に彼らと〈パートナーとして認めあう関係〉を築き,退院という共通の目標に向けて協働する.最後に退院という目標がなくなり,援助関係が終結した後も,彼らと「人」として〈つながり続ける「かかわり」〉を築くに至っていた.</p>