著者
武藤 泰敏 大森 正英 園田 隆也 石川 淑郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.545-556, 1975 (Released:2007-12-26)
参考文献数
41

アルコールの量-反応関係 (dose-response relationship) にもとづいて, アルコール性肝障害の発生を検討した. そのさい総アルコール摂取量 (total alcohol intake: TAI) と血清γ-GTP活性を指標とした. 肝疾患既往のない飲酒者 (social drinkers) ではTAIと血清γ-GTP活性とは正相関4)を示すが, 一方, 慢性アルコール症患者 (chronic alcoholics) においては逆に負相関 (r=-0.4999, P<0.001) が観察された. そこで, TAIと血清 γ-GTP 活性との関係から, 慢性アルコール症患者を"good"と"poor" responder とに類型化し, しかも両型の主な臨床的特微をあげた. そしてアルコール性肝障害の発生をアルコール摂取に対する個体反応の差 (personal sensitivity) から観察することの重要性を強調した.