著者
園田 麻利子 小西 早智 谷口 早耶加 山崎 里鶴
出版者
鹿児島純心女子大学
雑誌
鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13421468)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.82-94, 2008

1.入院の動機は,最期をゆったり過ごしたい,自分で決めた治療方針を貫きたい,家族に迷惑をかけたくないことであった。2.ホスピス入院中の思いは,時間的経過の流れの中でみたとき,3名が共通であり,病気の進行に伴って「病気発症と積極的治療」「治療効果が得られず揺れ動く」「ホスピスへの入院を決定」「ホスピスでの満足した生活」という4段階のプロセスがあった。それは,治療への期待,疾病の悪化に伴い揺らぐ自分,そしてホスピスを選択し今満足しているという思いであった。3.納得のいく治療への模索,自己選択した治療の遂行,ホスピスへの入院について自己の価値観に基づいて自己決定したことが,現在のホスピスでの満足した思いにつながっていた。4.3名とも,がん治療の経過で納得できない医療・体制について不満・不安を表出した。それは,患者中心の医療を望んでいるが現実にはできておらず,その人らしく生きることへの医療者の支援への願望であった。
著者
園田 麻利子 上原 充世
出版者
鹿児島純心女子大学
雑誌
鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13421468)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.21-35, 2007

本学看護学科3年次生に開講されているターミナルケアの授業を通して学生の死生観の変化を明らかにし今後の教育の方向性を模索することを目的に授業前後で質問紙による調査をした。対象は,本学看護学科3年次生,50名であり,期間は平成18年4月,7月の2回である。その結果,以下のことが明らかになった。1)死別体験,葬儀参列の体験が8〜9割があり体験率は高いと言えた。2)死に対する態度の尺度,死生観尺度,死のイメージ尺度(SD法)の授業前後の比較では授業後が有意に高かった。このことから,授業は学生の死生観が肯定的に変化することに大きな意義を持っていたと考えられた。3)死別体験・葬儀参列の体験・看取り体験と各尺度との関連は一部を除いて有意差はなかった。このことから看護学生の死生観を形成する上でこれらの体験は大きな影響を及ぼしていないと考えられた。4)授業は,専門の講師からの講義や学生が自ら死について考えられるような教材であったが,授業後においても死を否定的に考える学生もいるので今後の授業内容の検討が必要であると考えられた。今回の調査より,ターミナルケアの授業は,学生の肯定的な死生観育成に大きな影響を及ぼしていた。しかし,授業後においても死を否定的に捉える学生はいるので,授業のあり方の継続的な検討が示唆された。