著者
土居 幸司 荻原 菜緒 永縄 俊博 高田 英輝 中塩 達明 佐藤 榮作 山内 晶司
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.369-372, 2003-05-01
参考文献数
17
被引用文献数
3

Nissenのfundoplicationは,逆流性食道炎を伴う食道裂孔ヘルニアなどに対し広く行われてきた手術法であるが,その後に胃破裂を来したという報告は少ない.今回我々はNissenのfundoplication術後に胃破裂を来した症例を経験したので報告する.症例は60歳の男性,約3年前に食道裂孔ヘルニアに対しNissenのfundoplicationを受けている.腹痛と腹部膨満感にて当院受診.来院時の腹部X線検査にて胃の著明な拡張を認めたが,処置中に突然,腹部の激痛を訴え,再度のX線検査にて多量のfree airを認めたため胃破裂と診断.緊急開腹手術を行ったところ,胃小彎側が破裂しており,腹腔内には食物残渣とともに可燃性のガスが貯留していた.何らかの原因により胃腸の通過障害が起こり,停滞した食物残渣からガスが発生したが,fundoplicationの逆流防止機構により内圧が上昇し,胃破裂に至ったと考えられた.
著者
土居 幸司 吉田 誠 中村 誠昌 松村 光誉司 打波 大 田中 國義 今村 好章
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.202-207, 2005-02-01
参考文献数
40
被引用文献数
7

脾原発血管肉腫はまれな疾患で極めて予後不良である.今回,われわれは脾原発血管肉腫の切除後に転移巣に対しrecombinant interleukin-2(rIL-2)を投与したところ,肝転移巣および転移リンパ節において奏功を認めることができ. rIL-2の有用性が伺われた.症例は52歳の女性で.2002年9月,巨大な脾腫瘍に対し脾摘術を行い血管肉腫の診断を得た.術中多発肝転移を認めたため,これに対しrIL-2の肝動注を行ったところ転移巣は著明に縮小した.2003年3月,肝十二指腸間膜リンパ節に転移を認め,IL-2の持続静注療法を行ったところ転移巣は著明に縮小した.2003年5月,脳転移と思われる病巣が出現し脳外科にて摘出手術を行ったが切除標本からは血管肉腫の所見は得られず転移とは断定できなかった.術後,肝転移巣と副腎転移巣が増大したが,副作用のためrIL-2療法が続けられず,2003年9月死亡した.