著者
小林 伸行 都築 隆 萬造時 知子 渡部 洋行 竹澤 三代子 土屋 敦 土屋 章
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.34-41, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:脂肪肝の線維化の指標としてのFIB4 Indexの有効性を検討する.方法:複数回受診の脂肪肝症例について,初回と最終回受診時のFIB4 Indexを算出した.線維化のcut off値を2.67とし,初回受診時2.67未満の12,059例を対象とした.初回から最終回受診までの期間,FIB4 Indexの変化を求めた.最終回受診時にFIB4 Indexが2.67以上へ上昇した症例について,性別,アルコール性/非アルコール性の脂肪肝種類別に比較した.FIB4 Index算定式の各因子(年齢,AST,ALT,血小板数)および超音波画像の変化を検討した.結果:最終回にFIB4 Indexが2.67以上に上昇したものは161例(1.3%)であった.この上昇群では初回からFIB4 Indexが有意に高値であった.観察期間5年未満のFIB4 Index上昇群の頻度1.1%に対し,5年以上では1.6%と有意に多かった.男女間やアルコール性,非アルコール性によるFIB4 Index上昇群の頻度には差を認めなかった.算定式の4因子のうち,ASTの変動が最も大きくAST/ALT比も初回0.86から最終回1.18と上昇した.初回から最終回の超音波画像上の変化は,161例中3例に肝辺縁の鈍化を認めたのみであった.結論:FIB4 Indexの変化に要する期間や,AST優位への変化から,線維化の予測指標としての可能性が示唆された.
著者
土屋 章
出版者
盛岡大学
雑誌
盛岡大学紀要 (ISSN:02860643)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.203-217, 1996-03-19

本稿では,昭和22年の学習指導要領にいたる戦後教育の目的・内容・方法について明確な視点を示し先導的役割を果たしているのが,連合国軍最高指令部の日本に対する覚書,米国教育使節団報告書(昭和21年3月30日)及び新教育指針(昭和21年5月15日配布開始)であると捉え,その内容を吟味している。連合国軍最高指令部の日本に対する覚書については,(1)「日本教育制度ニ対スル管理政策」(昭和20年10月22日),(2)「国家神道,神社神道二対スル政府ノ保証,支援,保全,監督並二弘布ノ廃止二関スル件」(昭和20年12月15日),(3)「修身,日本歴史及ビ地理停止二関スル件)(昭和20年12月31日)を考察の対象とした。これら「覚書」,「米国教育使節団報告書」,及び「新教育指針」で諭じられていることがらを,試みに,次に示すように包括的に整理しschema化してみた。以上が,昭和22年の学習指導要領に至る「覚書」,「米国教育使節団報告書」,及び「新教育指針」に提示されていることがらにみる,日本の戦後教育の目的・内容・方法の図式化の試みである。提示されている基本的枠組の上に,昭和22年3月20日に学習指導要領が出され,順序は逆転しているが,昭和22年3月31日の教育基本法及び学校教育法と続き,学習指導要領について直接規定する昭和22年5月23日の学校教育法施行規則へとつながってゆくことになる。この枠組は,いわば,昭和22年学習指導要領にとって昭和24年以後の教育課程審議会答申的役割を果たしたともいえる。