著者
土橋 ルミ子 内海 文子
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.338-342, 2008 (Released:2009-02-16)
参考文献数
6
被引用文献数
5 4 8

本研究では,長崎県内の設置主体の異なる3施設の看護師590名を対象に,標準予防策における知識・態度・実践に関する質問紙調査を実施した.標準予防策における知識・態度・実践のレベルおよび関連性,さらに基本的属性ごとに分析を行った.   その結果,知識得点—態度得点(rs=0.17, p<0.01),知識得点—実践得点(rs=0.057, p>0.05)には関連がなかった.態度得点—実践得点(rs=0.412, p<0.01)には関連性があり,態度は実践に結びつく重要な因子であると考えられる.看護師の標準予防策における知識得点は,平均値8.9(SD1.5)であった.実践得点は,中央値(25~75パーセンタイル値) 84.5(78~91)で,態度得点92(87~97)に比べ低かった.知識や態度を身につけていても,実践に結びついていないと考えられる.基本的属性による分析では,看護師経験年数や年齢が増すごとに,態度,実践得点は優れており(p<0.01),経験年数や年齢に応じた教育・訓練が効果的であると考えられる.また,副看護師長や感染管理に関する委員会に所属している看護師では,態度・実践得点が高く(p<0.01),職位や委員会の所属が標準予防策の知識・態度・実践に影響を及ぼすと考えられる.研修会に参加している看護師は,知識・態度・実践得点が高く(p<0.01)教育の重要性が示唆された.